自由民主党が若者から支持されているというのは、本当なのだろうか―世代のあいだにある利害の対立

 自由民主党は、若者から支持されている。そう言われているのがある。このことは絶対に嘘だと言うつもりはないが、本当にそうなのだろうか。個人としてはいぶかしいという印象を受ける。

 高齢世代と若者世代のあいだには、利害の対立がある。その対立が隠ぺいされているのではないだろうか。見えなくされているのである。

 高齢世代と若者世代のうちで、どちらかがよくて、どちらかが悪いというのではないが、高齢世代にとって得となることが、若者世代にとって損となるということがある。

 いたずらに世代のあいだの対立をあおるのは、するべきではないことだ、という声があるかもしれない。不必要に対立をあおることになるのであればよくないことではある。そういうこととは別に、高齢世代も若者世代にもどちらにとっても得になるようなことをするほど、いまの日本にはよゆうがないので、そこまで甘いことはできないのではないだろうか。

 自民党は、与党である責任として、若者にカタリ(騙り)を言って好かれている場合ではない。いまは大衆迎合主義になっていて、受けが悪いことを言うのは避けられがちだ。

 みんなが得をするといったような、きれいごとの嘘っぱちのカタリを言うのをおさえて、不利益の分配を国民のあいだでどうするのかを言うべきである。それを言うと票にならなかったり票を失ったりすることになるから、言わずにすませることにするのは、与党として責任のあるふるまいとは言えない。

 景気のよいことを言って、カタリを言うことで、国民からの支持を得て、それで票を得る。それがこれから先の日本のためになるとは見なしづらい。景気の悪いことである、不利益の分配をどうするのかということを言って行かないと、問題に目を向けて手を打つことができづらい。そのさいに、世代のあいだにおける対立があるということも浮きぼりにすることがいる。たとえ票を失うことになっても、そういうことをして行くことのほうが、一時しのぎのうわべの票を得ることよりもより大切なことなのではないだろうか。

 参照文献 『高校生のための経済学入門』小塩隆士(おしおたかし) 『政治家を疑え』高瀬淳一