東京都の医師会は不安をあおることを言っていて、それがよくないのだとテレビ番組では言われていた

 ウイルスに夏休みはない。夏休みだからということでウイルスは活動を休んではくれない。ウイルスに対応するために政治家は国会を開いてほしい。それでウイルスの対策を議論してもらいたい。ほんとうに政治家が国民のためを思っているのであればそうしてほしい。東京都の医師会は記者会見を開いてそう言っていた。

 東京都の医師会の言いぶんについて、いたずらに不安をあおることを言っているということがテレビ番組の中で言われていた。新型コロナウイルスの感染が広がっているが、それはインフルエンザていどのものなのだから、そんなに不安になることはいらず、不安をあおることはよくない。楽観論によるものだ。

 テレビ番組の出演者が言うように、東京都の医師会は不安をあおることを言っていることになるのだろうか。それはよくないことに当たるのだろうか。

 ウイルスをどのよう見みなすのかでは、楽観論と悲観論の二つがとれるのはあるかもしれない。東京都の医師会はどちらかというと悲観論の見かたで、それとはちがう楽観論の見かたもまたできる。

 楽観論がまちがっているとは言い切れないが、欠点を抱えている。ウイルスについてを甘く見なすことになり、問題を見逃すことがおきかねない。さまざまな問題がおきているのにもかかわらず、それらをとり落とすことになると、ほんとうは防げたり手だてを打てたりすることなのにも関わらずそれができなくなる。ほんとうは片づいたり改善できたりしたことなのにもかかわらず、それらが行なわれないままになる。

 甘い見かただけではなくてきびしい見かたもまたいるものだから、東京都の医師会のような悲観論もまた有益だ。色々におきているかもしれないいくつもの問題を見つけて行くためには、問題が見つかるまでさがして行くくらいのしつこさが必要だ。表面的には問題がないようであったとしても、深いところに色々な問題が潜在していることがある。

 民間のトヨタ自動車では、もしも問題が見つからないのであれば、問題が見つかるまで探すことが言われているという。ウイルスの感染が広まっている中で、日本の社会の中にどのような問題がおきているのかを見て行くさいに、トヨタ自動車で言われているように、色々な問題が見つかるまでさがして行くくらいのねばりがあってもよいものだろう。

 まったく必要がないことなのにもかかわらず、東京都の医師会はわざと不安をあおるようなことを言っているのだとは言い切れず、色々な問題を見つけられているからこそ否定的なことを言っていっている見こみがある。

 テレビ番組の出演者が言っていることとは逆に、もっといまの時の政権がやっていることをきびしく批判して行くくらいでちょうどよいのではないだろうか。テレビ番組の出演者が言っているように楽観論によるようだと、まあ何とかなるだろうということで、政権がやっていることを甘く見るようになってしまう。それだと色々な問題を見つけて行くことの助けになりづらい。

 テレビ番組の出演者のような楽観論だと、ことなかれ主義になるのがあり、政権がやっていることへの批判が行なわれづらい。政権をよしとして長いものに巻かれる順応主義や同調主義がとられる。テレビ番組の世界はそういう空気が広がっていて、その空気がまん延して久しい。

 東京都の医師会のあり方のように、もっと政権がやっていることにたいして色々と突っこんでいったり、悪いところを見つけて行ったりするくらいでないと、政権の自己認識のかんちがいが改まりづらい。自分たちはよく(うまく)やっているという政権のもつ虚偽意識が改まりづらい。もっとテレビの世界などは、政権に飼い慣らされてしまうのではなくて、権力の監視(watchdog)の役割をはたして行ってもらいたいものである。

 参照文献 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『問題解決力を鍛える 事例でわかる思考の手順とポイント』稲崎宏治 『現代思想の展開』(批判への意志)今村仁司 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ)