時の権力のおかしさと、そのおかしさをきちんと批判しない大手の報道機関のおかしさ(おかしさが掛け合わされてしまっている)

 とりわけ NHK がそうだが、日本の大手の報道機関は、ゆでがえる現象におちいっているのではないか。今回の訪日したアメリカ大統領についての報じ方を見ると、日本の報道よりも、伝え聞くアメリカの報道のほうがよほどまともなのだ。

 日本の大手の報道機関は、ゆで上がってしまっていて、表面的な報じ方しかできていないところが多い。日本の時の権力をやたらに持ち上げて、自分たちが国家のイデオロギー装置であることを隠し立てすることすらしていない。

 がんばっているところも中にはあるから、いちがいに決めつけてはいけないが、日本の時の権力になびきすぎているのが目だつ。NHK はとりわけひどくて、さかんに時の権力であるいまの首相の有能さをうったえつづけている。これは逆として受けとったほうがよいのではないかというのが個人的な見立てだ。

 NHK に見られるような、日本の時の権力にたいするごまをする報道よりも、海外の報道のほうが、信用性は高いだろう。ほんらい、自分たちの国の民主主義を保つためには、自分たちの国の報道機関による報道がしっかりとしていないとならないはずだ。

 内容がしっかりとしていなくてはならないところが、しっかりとしているところはごく少なくて、目先の利益にかまけてしまっているように映る。目先の利益に目がくらんでしまっている。国内よりも、むしろ海外の報道のほうがよりまともだというのだから、日本の政治や民主主義はそうとうに危ういことになってしまっているのではないだろうか。

 参照文献 『民主主義という不思議な仕組み』佐々木毅(たけし)