大国と対等にわたり合える日本という中華思想とは別に、世界の中で極東の小さな島国だという現実は無視できそうにない

 なぜアメリカのドナルド・トランプ大統領は、日本のことを皮肉るのか。トランプ大統領は、記者会見において、日本の記者にこう言っている。安倍首相によろしくと言っておいてください、彼は自動車関税の脅威を楽しんでいることでしょう(Say hello to Shinzo. He probably enjoys the threat of tariffs on his cars.)。英語力がないのでもしかしたら訳がまちがえているかもしれないが。

 国内では外交の安倍と自称しているものの、国外ではアメリカのトランプ大統領やそのほかの大国の首脳から、安倍首相が一目置かれているとは見なしづらい。それは首相の能力の不十分さによるものとばかりは言えず、日本という国が世界の中で高い威光(プレスティッジ)をもっているとは言えないことによるものと見られる。

 世界地図で見れば、日本は極東にある小さな島国だ。地球儀を俯瞰する外交だとかいうことで、いくら外交であちこちに飛び回ったとしても、日本の置かれているありようがとりたてて目ざましく変化することはのぞみづらい。何ごとにおいても身のたけとか分をわきまえるというのがあるから、世界の中心に日本がおどり出ようといった非現実の尊大なことはしないほうがよいのではないか。

 先の戦前や戦時中には、世界の中で極東にある小さな島国であるのにもかかわらず、まちがった中華思想をもつことにより、世界(東洋)の中心におどり出ようという出すぎた真似をして日本は大きな失敗をおかした。それを省みることは有益なことだ。あくまでも極東の小さな島国であることをわきまえるようにして、身のほどをわきまえるようにするのが無難だ。

 大国と下手にわたり合おうとしても、大国のほうではいとも簡単に見すかすことができてしまうものだろう。もしそれをするのであれば、たんに大国に追従するのではなく、まちがっているところはまちがっていると言うようにしてほしい。日米の関係において、地位協定のおかしさを改めるのようにするのは重要度が高く有意義だ。国外とは別に、国内ががたがたなのを立て直すようにして、内実のある国内のあり方になるようにしたほうが、日本の国を保つために益にはたらく。いまの首相にはそうしたことはほとんどまったくと言ってよいほどのぞめるものではないものだが。