府知事は、自然災害に強い街だと言うが、反証(否定)することができる事実があるのなら、成り立たないものだろう

 大阪は災害に強い街だ。それをうったえるために、大阪府知事はヨーロッパに向かったという。

 台風によって、関西国際空港をはじめとして関西ではひどい被害が出ている。そのさなかに、大阪府知事はヨーロッパへと向かったのは、万国博覧会を招致するための動きだという。府知事がヨーロッパに行くことで、自然災害がおきても、すぐにもと通りにすることができるのを示せる。

 たとえ府知事がヨーロッパに行ったとしても、大阪が自然災害に強い街であるのを示すことにはつながらないのではないか。まだまだ大阪を含めて関西では、台風による被害がおさまっていなくて、もと通りにはなっていないところが少なくないという。

 万博を大阪に招致することに悪く響いてしまいかねない。頭の中にそれがあるから、何としてでも自然災害に強い街であるのを示さなければならない。自然災害に強い街であるべきだ。府知事はそうした当為(ゾルレン)をとっている。しかし、その当為とは別に、実在(ザイン)があるのだから、それを見ないとならない。

 府知事が目ざしているものである、万博を大阪に招致することも、大事なことではあるのかもしれない。しかし、それとは別に、それと同じかそれ以上に大事なのは、台風による大阪や広く関西の被害の事実をできるかぎり正確に受けとめることではないだろうか。どれほどの大きな被害が出ているのかの事実を受けとめるようにする。それをもとにして対応して行く。

 ほんとうに自然災害に強い街であるのであれば、それに越したことはない。のぞましいことである。自然災害とは話はちがってきてしまうが、国においても、日本がよい国だとか、経済がよくなっているだとかが本当なのであれば、それに越したことはないのがある。しかし、それよりもまず、じっさいのありようがどうなっているのかを正しくつかむことに力を入れられればよい。それがおろそかになっているのが、いまの政権のあり方としてある。

 くり返しになってしまうが、ほんとうに大阪が自然災害に強い街であるのなら、それはよいことである。本当にそうなのではなく、うわべで言っているだけなのであれば、本当はどうなのかを見ないとならない。本当はまたちがうのであれば、自然災害に強い街だということを、府知事はしたて上げてしまっている。府知事にかぎらず、いまの政権もまた、こうしたことをしてしまっているのが見うけられる。都合の悪いことを見ないようにしているのがある。穴にフタをしてしまっているのだとすると、そのフタをとるようにして、じっさいの穴を確かめることができればよい。