まるで暴力団のように不正に(反社会的に)商品を売りつけていたと見られる

 まるで暴力団みたいだ。日本郵政は、 NHK の報道の番組にたいしてそう言ったという。NHK日本郵政かんぽ生命保険の売り方に不正の疑いがあることを報じたところ、日本郵政はそれを、まるで暴力団みたいだと評したのだ。

 日本郵政かんぽ生命保険に不正の疑いがある、という NHK の報道について、日本郵政はどう応じるべきだったのか。ふさわしい応じ方としては、まず、NHK の報道の内容が事実であるのかそれともそうではないのかがある。

 報道の内容が事実であるのなら受けとめて、そうではないのならちがうということでまともに説明をして反論しないとならない。報道の内容が事実であるのなら信頼性があることを示す。あとになってみれば、信頼性は高かった、つまり事実だったのだ。

 きちんと取材をして、それにもとづいて報じているのなら、まったくずさんな報道の内容だということは言えそうにない。それなりに内容に説得性がある見こみがある。一か〇かや白か黒かの二元論にはできづらい。それを日本郵政は、まったくでたらめな報道だと言わんばかりの応じ方をした。そこには、日本郵政における、決めつけや短絡さによるふるまいが見てとれる。

 NHK がまったくでたらめな報道の内容を流したのならまずい。嘘を言ったもの勝ちみたいな報道なのであれば、断固として内容に抗議するべきだろう。それは二元論でいえば黒に当たるものだ。

 まったくの黒だということで、一方的に決めつけたり短絡によったりするのでは、いたずらに二元論におちいるのでよくない。決めつけや短絡はまちがいのもとになりやすい。内容を腑分(ふわ)けしてみて、報道の内容が事実であるのかどうかや説得性があるかどうかを見て、証拠となる事実はあるのかなどを確かめたうえで、どれくらいの確からしさがあるのかを確かめるようにする。

 日本郵政は、対外において説明責任を果たして、社会関係をとるようにするべきだった。いそいで NHK の報道をでたらめだとは決めつけずに、立ち止まるようにして、あえてゆっくりと歩を進めるべきだった。ことわざでは、急(せ)いてはことを仕損じるということがある。日本郵政は、急いで報道を嘘だとは決めつけずに、むしろゆとりを持つようにしたほうがよかった。

 自分たちでどういった倫理観を持っているのかを示して、それにのっとった形で自己修正や双方向(対話)のあり方をとって行く。一か〇かや白か黒かの二元論に持って行かず、灰色の領域を見て行く。それをせずに、日本郵政は説明責任を果たそうとはせず、二元論に持って行ってしまったところが、いまの時の政権のとる言動と共通している。

 参照文献 『「説明責任」とは何か』井之上喬(たかし) 『打たれ強くなるための読書術』東郷雄二 『逆説の法則』西成活裕(にしなりかつひろ)