総理大臣とは言っても、超人なわけではないし、一人の人間がやることなのだから、かなり限定されたものだろう

 総理大臣であるから、(政治の)森羅万象を担当している。首相は国会においてそう言ったという。この発言では、総理大臣の定義のとらえ方と、森羅万象の語の意味をとらえるし方がおかしいのかもしれない。

 総理大臣が森羅万象を担当しているのなら、なぜ色々な領域の大臣がいるのだろうか。行政と司法と立法として三権が分立しているのもある。政党ということでは、一つの党の党首は国民の全体を代表しているのではなく、部分を代表しているのにすぎない。部分を超えて全体を代表しているとなると、大衆迎合主義(ポピュリズム)におちいる。

 総理大臣とはいっても、複雑になった現代の社会において、一人の人間にできることはごく限られているのだし、そうとうに限定されたものなのではないだろうか。

 参照文献 『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』佐藤優 井戸まさえ