時間がなく、専門家の声も聞かないとなると、最適でない判断が行なわれる確率がそれなりにありそうだ

 判断をするまでの時間がとても限られていた。いとまがなかった。それで専門家を抜きにして(自分で)判断することになったのだと首相は言っていたようである。

 新型コロナウイルスの感染についての対策をするうえで、たとえ判断するまでの時間が限られていたのだとしても、であるのならむしろ専門家の意見は聞くことがいるのではないだろうか。

 専門家の意見は優先順位としてはもっとも高いといってもよいもので、それを抜きにしてしまうと、十分にそのことについてをよくわからない素人が決めてしまうことになりかねない。

 創造性の MRS 理論を持ち出してみると、専門家が少なからずいるとすると、その意見や知見は貴重な資源(リソース)である。これを使わない手はないだろう。それを抜きにしてしまうと、かなり限られた資源の中でものごとを進めることになるから、創造性が損なわれてしまいかねない。

 料理でいうと、せっかくすぐれた食材や道具が使えるものとしてあるのにも関わらず、それを使わないで、あえて質の低いもので料理をつくろうとするようなものだろう。宝の持ち腐れとなる。

 創造性の MRS 理論では資源のほかに動機づけ(モチベーション)や技術(スキル)があるとされるが、それらについても疑問が湧いてくる。きちんとした対策をやろうとする動機づけが十分にあるのかが疑わしいし、意思決定のやり方がふさわしいものなのかが疑われるところがある。あんまりやる気が無いのではないかというふうに映る。

 参照文献 『創造力をみがくヒント』伊藤進 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき)