少子化にたいする与党の政治家の浅い発言

 子どもを三人くらい産んでほしい。結婚式で、自由民主党の議員は新郎新婦にそう言ったという。

 野党の議員は、別の自民党の議員が、エレベーターの中でこう言っていたのを耳にしたという。ほんとうのことを言えば、三人ではなくて一〇人は産んでほしい。

 子どもが産まれる数が少なくなれば、人口は減って行く。人口が減るのは国としてはまずいので、できるだけ多く産まれることをのぞむ。そのさいに、ただ産んでほしいということを国会議員が言っても、具体の策になっているとは言いがたい。

 子どもが産まれる数が減っているのには、それを引きおこす複数の要因があるはずだ。それを探って行くことがいる。主となる要因に手だてを打つようにすることがいる。

 直接の手だてとは別に、間接として、それぞれの人が生きて行きやすい社会にすることは有効だ。政治への根強い不信感がぬぐえず、これから先の超少子高齢の社会にたいする不安感は小さくない。権力をもつ政治家や高級な役人によるカタリ(騙り)が横行している。

 政治が無責任体制となっていて、国民のめんどうをしっかりと見る気が薄い。こうした中では、それぞれの人が生きて行きやすい社会になっているとはとうてい言えるものではないだろう。温かい社会的包摂ではなく、冷たい社会的排除の動きがおきている。

 強い者が力にものを言わせて、弱い者をしいたげる。すべての強い者がそうだというのではないが、そうしたことを許す社会のあり方になっているから、そこを改めることは急務だ。弱い者をしいたげるパワー・ハラスメントやモラル・ハラスメントなどがさまざまなところで多発していて、劣悪なあり方になっているのだ。

 劣悪なあり方を改めるには、差別や排除につながるようなよくない価値観や考え方を変えることがいる。そうした価値観や考え方は、社会の中にあるものだ。生活に困っていたり苦しんでいたりする人が社会の中に少なからずいるということは、その背景には少数者を悪玉化するようなよくない価値観や考え方が社会の中にあることを示す。

 排除や犠牲や抑圧や搾取から、包摂によるあり方にすることが、めぐりめぐって間接として少子化を何とかするための手だてにつながることが見こめる。少子化や高齢化とともに、その他でも持続性や連続性が失われていて、富や財を先食いしてしまっているのは見のがせない。

 参照文献 『これが答えだ! 少子化問題赤川学 『事例でみる 生活困窮者』一般社団法人社会的包摂サポートセンター編