悪夢だったという決まり文句

 首相は決まり文句のように、旧民主党のときは悪夢だったと言っている。とりたてていまの首相による政権の成果があがっていないので、いぜんとして旧民主党のことを引き合いに出しているのだということが言われている。

 旧民主党が政権をとったことで政権の交代がおきた。それで悪夢がおきたというのが首相の認識だ。少なくとも、政権の交代がおきたことそのものにはよいところがあったのだから、そのことと悪夢だったかどうかは切り分けたほうがよいことだろう。

 民主主義においては、政党どうしの政党間競争(パーティ・コンペティション)が活発であることがいる。これがおきづらくなっているのがいまの一強のあり方だ。一党が強い一強のあり方が引きつづくと、利権が固定化したり腐敗したりすることになる。すでにその兆候は出ている。一強であるいまの政権や与党の自己保身の自己目的化や、情報を隠すことやごまかすことや、面子(めんつ)をやたらに気にすることや、自浄作用の喪失が目だつ。

 参照文献 『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? 三五歳くらいまでの政治リテラシー養成講座』森川友義(とものり) 『警察はなぜあるのか 行政機関と私たち』原野翹(あきら)