消費税と、権力をになう政治家の責任

 アベノミクスはぜんぶふっ飛ぶ。消費税を上げたらそうなるのだという。テレビ番組に出演した参議院議員はそう言っていた。

 個人の消費をおさえてしまったら、これまでに積み上げてきたものが崩れてしまう。自分で自分の首をしめて、国家の首をしめるのはやめてほしい。断固(消費税を上げるのに反対)と言わないとならない。既得権益はぜんぶぶっ飛ばすぞと言わないと変わらないから、そう言うことがいる。

 国の全体の借金は一〇〇〇兆円を超えている。そのようにどうたらと言うのは、はっきりと言えば財務省の宣伝である。財務省が国民をだましてそそのかしてくる手口に、国民は気をつけないとならない。

 参議院議員はテレビ番組に出演して、そういうことを言っていた。この中で、既得権益をぶっ飛ばすというのはよくわからないものだ。消費税には既得権益はあまり関係ないのではないか。具体的に何が既得権益に当たるのだろうか。それをぶっ飛ばしたところで、消費税を上げなくてすむようになるとはちょっと思いづらい。

 国の借金が一〇〇〇兆円を超えていて苦しくなっているのは、はっきりと言えば財務省の宣伝にすぎない。参議院議員はそう言うが、これははっきりと言ってしまえば、財務省に責任をなすりつけてしまっている。責任を押しつけてしまっている。そこから、財務省による陰謀理論が持ち出されることになる。

 消費税については、財務省などの役人ではなく、政治家の責任だろう。権力をになう政治家が、国民にたいしてきちんと説明をしていないのが悪さのもとになっている。それを財務省のせいにするのは責任のすり替えである。

 権力をになう政治家が国民にたいして説明をするのを怠っている。長期におけるあるべき計画を国民にたいして示せていない。これまでのふり返り(批判的反省)がなく、これからの具体的な展望が見えてこない。その場かぎりの場あたりになっている。

 消費税を来秋に一〇パーセントに引き上げることを首相は決めたが、そもそも消費税(を上げること)が悪いのなら上げなければよい。悪かったりまちがったりしているのに上げるというのはつじつまが合っていない。上げることの必要性が十分に政治家によって告げ知らされていないことから、許容されづらくなってしまっている。

 大衆迎合(ポピュリズム)におちいっているために、政治として抵抗のかかることを行なう政治家の動機づけがとりづらくなっている。抵抗のかからないところに逃げてしまっている。つけを将来の世代に先送りしつづけていて、利益の先食いをしていることから、若い世代ほど重荷がかかるのが予想される。これらのまずさは、権力をになう政治家の能力の足りなさと責任のなさがあらわれ出ていると、厳しく言えば見なせるものだ。