石破氏が講演の中で言っていることはまっとうだというのがある

 とりわけ少数派の国民にたいして、生産性がないと言ってはいけない自由民主党石破茂氏は、講演の中でそう言ったという。雑誌の記事や動画などにおいて、性の少数派である LGBT には生産性がないと言ったのは自民党の議員の一人だが、これを許すのは自民党の中に多様性があることではないし、懐が深いことでもない。石破氏はそう述べている。

 石破氏は自民党の元幹事長だったそうだが、いまの幹事長が言っていることと比べると、石破氏の言っていることのほうがまっとうである。元幹事長である石破氏はまっとうなことを言っているが、いまの幹事長はおかしなことを言っていると個人としては見なせる。生産性がないと言った自民党の議員を、自民党には色々な議員がいるとして、許容してしまっているのである。党の中に偏りがあるのにもかかわらずそれを隠ぺいしてしまっている。

 自民党の総裁選では、首相をよしとせずに対立する者は、党の中で冷遇するということが言われている。これは首相とそのとり巻きによる思わくだと見られる。石破氏はこれについて、力関係の嫌がらせ(パワー・ハラスメント)だとして、のぞましいことではないとしているが、まさにその通りだと言うしかない。

 当然のように総裁選において首相とそのとり巻きによるパワー・ハラスメントが行なわれているのは、自民党の中に社会関係がいちじるしく欠けてしまっているのを示しているものだ。社会関係がないので、説明責任も果たさないのである。本当はもっとちがったふうであるにもかかわらず、パワー・ハラスメントがとられることで、つくりごとの擬制(フィクション)が成り立つ。うわべの幻想(フェイク)による権力の構造だと言ってさしつかえがないものだろう。