表現や作品をあつかう文化のもよおしについて、補助金(税金)の交付を取りやめることの是非―正当性を問える

 従軍慰安婦にまつわる作品について、それをあつかうもよおしに、文化庁補助金を交付することを取りやめた。これについて、正当性を問うことができる。

 正当かどうかということで、正当性を問うさいには、一元性と多元性によって見られる。多数派と少数派がいるとして、多数派をよしとするのは一元性だ。少数派を尊重するようにするのは多元性だ。

 一元性によるのだと、多数派をよしとするだけになって、排他のあり方になってしまう。それにたいして正当性を問うことができるとすると、たとえ多数派ではなくて、少数派であったとしても、正しいものは正しいのであって、数の力(might)と正しさ(right)とを切り分けることがなりたつ。

 少数派を重んじるようにして、一元性の排他のあり方ではなくて多元性になるようにする。少数派を排斥しないようにする。閉じるのではなくて開かれたあり方になるようにして行く。そうして行くことが、表現ということについての正当性を問うさいに導かれることではないだろうか。

 多数派や主流派による数の力つまり正しいということには必ずしもならないことに気をつけることがいる。そこは、数の力(might)と正しさ(right)を切り分けられるので、数の力とは分けた形で、正当性つまり正しさを問うことがなりたつ。

 数の力というのは、一般の意見の使用だが、それはいついかなるさいにも正しいものであるとは言いがたく、たとえ非一般(少数派)の意見となるものであっても、それがまちがっているというふうに頭から決めつけられるものではない。

 参照文献 『希望と絆 いま、日本を問う』(岩波ブックレット) 姜尚中(かんさんじゅん) 『実践トレーニング! 論理思考力を鍛える本』小野田博一