軍事よりも、自然災害の備えにお金や力を注いでほしいものである(軍事にまったくお金や力を注ぐなというわけではないが)

 災害に使う特殊車両で、全国に一台しかないものがある。それが水陸両用のレッド・サラマンダーと言われるものだそうだ。これは一台およそ一億円するものだという。これが日本にたった一台しかないのにもかかわらず、数百億円もする軍用機を何台も政府はアメリカなどから購入している(させられている)。

 軍事のことと自然災害のこととは、ちがったことがらであるから、一概にいっしょくたに論じられるものではないかもしれない。ちがうものだというのはあるが、個人としては、軍事にお金をかけるよりも、自然災害への事前の備えにお金を使ったほうがより効用が高いのだというのがある。そこは人によって判断が分かれるところではあるかもしれないが。

 軍事のことと自然災害のことでは、どちらかが大事だというよりは、どちらも大事だということは言えるだろう。どちらをより重んじるべきかということでは、自然災害への備えのほうをより重んじたほうがよいのだと見なしたい。自然災害は、地震であったり、集中豪雨であったりというかたちで、まずまちがいなく、日本のどこででもおきるものだからである。そのいっぽうで、軍事や防衛というのは、国民を守るとはいっても、じっさいには人を殺すための殺害生産力(の増強)にほかならない。武器の製造者や販売者は死の商人である。

 自然災害への備えに十分に力やお金を注ぐことは、国内の人々による需要のある公共政策だと見なせそうだが、それと政府がやりたいこと(供給)とが、かなりずれてしまっているのだというのがある。政府は自然災害よりも軍事のほうをより重んじていて、そこにお金や力を注いでいる。そうではないのだという反論もあるかもしれないが、それについては、政府が自然災害に最善の非の打ちどころのない努力をしているとはいえず(もっとできるはずである)、軍事のほうに傾いているのは否定することができづらい。