運行においての効率と適正のかね合いがありそうだ

 女性専用車両に、三人の男性が乗りこむ。それで、一二分ほどの電車の遅延がおきたという。東京メトロ千代田線での朝のできごとである。女性専用車両に乗りこんだ三人の男性は、女性専用車両が設けられていることに反対している人たちであるそうだ。抗議を訴えるための行動であると見られている。

 女性専用車両に、女性以外の男性が乗ったのだとしても、とくに罰則はないのだという。罰則がないのであれば、完全義務とはいえず、不完全義務であるといえる。その不完全義務を、三人の男性はとらなかったわけである。電車会社がとっているあり方とはまたちがったあり方を三人の男性はとっている。

 この三人の男性は、女性専用車両に反対だとされるわけだけど、それが設けられていることについて、まずその必要性があるかどうかを見ることができる。電車の車両の中で女性は痴漢の被害を受けることがあるわけだから、必要性はあると見なせる。そうして必要性があるとして、それについて許容することができるかどうかがある。許容範囲内にあるのかどうかということだ。全車両のうちで少ないものであれば一車両だけであるし、時間帯も限られているようであり、そこは許容範囲内にあるということもできるのではないか。なかには、許容できないという人もいるかも知れず、その中に三人の男性は入っているのだろう。

 女性専用車両があることが、はたして特権の要求なのか、それとも権利の要求なのかというのがある。特権とまではいえず、権利の要求ということであれば、妥当さをもっていると見なせる。もし特権となっているのであれば、不当であるとできなくはない。

 三人の男性がとった行動は、はたして正義の実践ということでいうと、それにかなっているものなのだろうかというのがある。そのさいの正義とは、一人ひとりの人間がもつ基本的人権の尊重をうながすものである。生命本能の満足である。それをうながすうえで、女性専用車両が設けられているのは、少なからず適したことだというのを軽んじられそうにない。女性だけではなく、身体に障害を負っているなどの弱者の人も利用できるのだという。

 朝や夜の電車の混雑で、いちじるしい苦痛を受けてしまったり、痴漢の被害がおきやすくなったりするのがあるとして、それは構造の問題だというふうに見なすことができそうだ。そうしたところの問題を発見することがあればよい。そのさいに、どういった状況にあるのかというのを色々と見ることができる。小状況から大状況まであり、それらを合わせて、論点をとるようにすることができればよさそうである。固定した和の奪い合いのようにならず、利用者の効用の和が全体として増えるようなことができればさいわいだ。