会見でのいさかい

 記者にたいして、出てゆけと一喝する。もう二度と記者会見にくるな。そのように言い渡す。東北の震災における復興を担当する大臣が、記者に向かってこのように言ったことがニュースで報じられていた。これは会見のいちばん最後のほうで、大臣の精神がついに高揚の極点にまで達してしまい、おきたことである。

 記者から理詰めでしつように厳しい質問を投げかけられているのなら、精神的に切れてしまうのも分からないではないな、という気がしてしまった。たぶん、推測ではあるんだけど、記者の人は意図して大臣を切れさせようとしていたのではないかとも見うけられる。理詰めでしつように大臣に問うていた記者はよこしまなのかといえば、そうとも言えない。それはそれで、意味のある質問を投げかけていたのだろう。

 なあなあになるのでもなく、かといって売り言葉に買い言葉みたいにぎすぎすするのでもなく、その中間くらいのものがよいのかも。まったく波風がたたないような穏当なものであるのなら、あまり意味があるとはいえない。あるていどは、厳しいことも問わないといけない。まだ解決していなかったり、放置されていたりすることを、率先して表に出してゆくことがいる。

 復興を担当する大臣というのは、推測にすぎないんだけど、たぶん自分の一存で決めているのではなくて、内閣なんかの決定に従っている面もあるのかな。内閣の方針なんかとの整合性のなかで、復興のあり方を決定している。とすれば、大臣というのは、記者なんかから狙いうちにされやすい位置にいることはたしかである。しかしそれでも、批判の声を封殺してしまうのではなく、聞き届けることがいるものでもありそうだ。やっていることがまったく正しいのであるのなら、そうした不満の声がおきることもないのだから。