政権とそれをとり巻く環境とのあいだの負の相互作用―関係主義から見てみる

 政権とそれをとり巻く環境を相互作用によって見てみたい。関係主義から見てみられるとすると、政権とそれをとり巻く環境とのあいだで悪循環となるような相互作用がはたらいているのがいなめない。政権とその外の環境とは、お互いが実体であるというよりは、関係のし合いによってなりたっていて、関係が先立つ。関係主義では関係の第一次性が重んじられる。

 政権がカタリ(騙り)によって嘘をつく。悪いことをしでかす。それを一つしたさいに、それが許される。それが許されるような政権をとり巻く外の環境がある。外の環境が政権の嘘や悪いことを許してしまうことで、それが許されるのだと政権はかんちがいをすることになる。かんちがいをすることから、政権はまた新しい嘘や悪いことをすることになる。

 相互作用の点で見てみられるとすると、政権が嘘や悪いことをするのと、それを外の環境が許してしまうのとで、お互いに循環し合う。たとえ政権が負のことをしたとしても、まわりが見逃す。空気を読んで忖度をきかせる。同調や服従を行なう。そういうふうになっているから、政権は安心して嘘や悪いことができるようになる。

 政権が少しであったとしても嘘や悪いことをしたら、それをとり巻く外の環境がそれを許さないようにする。そうなっていれば歯止めがきく。しきい値が高いままになる。すぐに止めることができる止め役がいることになる。

 いまは政権の外の環境に、すぐに政権を止めることができる止め役が不在なのがうかがえる。政権とそれをとり巻く外の環境とのあいだでの参与(コミットメント)が上昇している。低次の学習にとどまっていて、これでよいのだということで、局所の最適化のわなにはまっている。わなから抜け出せていない。その責任をとらないような無責任体制のあり方を改めるようにして、いかにして責任をとることによる高次の学習を行なえるようにするのかがある。それによってもっとものぞましいとされる大局の最適化を探ることににつながることがのぞめる。

 参照文献 『心理学って役に立つんですか?』伊藤進 『政治家を疑え』高瀬淳一 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『組織論』桑田耕太郎 田尾雅夫 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき)