辞めた役人に責任の押しつけをするのはどうなのだろう(辞めたからということで責任を押しつけてしまっているのだとしたらのぞましくない)

 辞める前は、適任だと言っていた。優秀な人材だとしてほめていた。それが辞めたとたんに手のひら返しのようにして、悪く言うようになる。国税庁の長官を辞めた役人にたいして、財務大臣はこのような対応をしている。財務大臣だけでなく、与党の議員はこぞって同じような対応をしているようだ。役人が辞める前と後で対応が整合していないし矛盾してしまっている。

 国税庁の長官を務めていた役人は、国会の答弁を行なっていたのがある。答弁では、与党の意にそうように受け答えていたと見られているが、与党の思わくとは関係なく、自分で勝手に答弁していたと与党は言い出している。辞めた役人が、国会で勝手に雑な答弁をしていたので、そのつじつま合わせとして公文書の改ざんが行なわれたのだという。

 与党の言い分では、公文書の改ざんが行なわれたことの前提として、辞めた役人が国会で勝手に雑な答弁をしたことになっている。この前提はそうとうに疑わしいしあやしいものである。これとはちがった前提もとれるのがあるし、そちらのほうが合っているものと見なせる。むりやりに言い分を押し通すのだとしても、その言い分のもつ説得性は高いものではないと言わざるをえない。

 辞めた役人が国会で勝手に雑な答弁をしたとするのは、独断と偏見によっていそうだ。独断で決めつけないようにできればよい。もともと、適任であり、適材適所であり、たいへんに優秀な人材だと評価していたのがその役人なわけだから、その人が国会で勝手に雑な答弁をしていたというのなら、まったく適していない人を地位に登用していたことになる。人を評価して登用するのにおいて、おかしなことが行なわれていると見なさざるをえない。きちんとした評価のものさしがないから、高評価だったのが低評価にころっと変わってしまう。胸三寸で評価を変えてしまっているのである。辞めた役人を悪しざまに言う前に、いま一度、与党の人たちは自分たちで自分たちを評価(評価する資格があるのかを評価)してみてはどうだろう。