アメリカやロシアは戦争をどう考えているのか。
日本をふくめてほかの国でもいま戦争に反対する声が言われている。
アメリカやロシアがやっている戦争に反対する示威(demo)の運動が、いろいろな国でなされている。示威の運動が多くなされるのはよいことだ。平和は普遍(ふへん)の価値の一つである。
はっきりと定義づけをしづらいのが平和だ。積極にはできづらくて、消極に定義づけできるのにとどまる。さしあたって戦争がおきていないのであれば平和なのだとできる。消極の平和だ。学者のヨハン・ガルトゥング氏による。
民主主義には二つの回路(track)がいる。ドイツの哲学者のユルゲン・ハーバーマス氏による。国の議会だけだと、一つの回路にとどまる。もう一つの回路がいる。議会の外での人々の行動や反応(や思考)だ。
どういう考えを持っているのかを見て行く。アメリカやロシアがある。アメリカのドナルド・トランプ大統領やロシアのウラジーミル・プーチン大統領がもつ考えを見ていって、どういった戦争観によっているのかをさぐる。
戦争観にちがいがある。大前提となる価値観までを見て行くと、戦争観が同じではないことが浮かび上がる。
三つの戦争観がある。そのうちで、トランプ大統領やプーチン大統領がもっているのは、違法戦争観ではない。のこりの二つである、正戦論や無差別戦争観によっているものだろう。三つの戦争観は作家の森巣博(もりすひろし)氏による。
違法戦争観は、戦争を違法だとする見なし方だ。原則論として国の武力の行使を禁じる。正戦論は戦争と正義が結びつく。自国を正義だと見なす。正義であれば戦争をやってもよい。無差別戦争観は現実論だ。国どうしの力の関係によって、戦争がおきてしまう。正義とは切り離して戦争を見なす。
つみをおかす。アメリカやロシアは、国際の法の決まりをやぶっているのがあるから、つみがある。このさいのつみは、違法戦争観によるものである。
応報(おうほう)としては、つみがあるのなら、ばつをくだすことがいる。つみにたいしてばつがないと、つり合いがとれない。罪があってもばつがないと、つり合いがとれない。アメリカやロシアは、不つり合いになっている。
イランやウクライナは、とりたてて罪をおかしているとはできそうにない。国際の法の決まりをやぶっているのではないのがイランやウクライナなのだから、その点からするとつみをおかしてはいないから、ばつをくだされるいわれはない。ばつを受けなくてもよい。
ばつを受けなくてもよいのがイランやウクライナだけど、自国を守るために必要でかつ最小限の武力を使うのにとどめることがいる。イランやウクライナが自国を守るためだとして戦争をやるのだとなると、それはそれで必ずしもよくない。正戦論や無差別戦争観に横すべりしてしまう。
示威の運動で戦争への反対をいうのだったら、違法戦争観によることがなり立つ。違法戦争観だったら、正戦論や無差別戦争観によらないようにすることができる。
人々が声をあげるのとはちがって、国となると、戦争観がお互いに似てきてしまう。大前提の価値観までを見て行くと、国どうしは戦争観に差異性があまりなくて類似性によってしまう。
軍備を縮小して行く。核の兵器をなくして行く。できるだけ軍備を持たないようにするのでないと、国が違法戦争観によっているとはできづらい。軍備の拡張をしたり、核の兵器を持っていたり持とうとしていたりするのだったら、正戦論や無差別戦争観に近づく。
どの国も軍拡をやっているのがあるから、国どうしで戦争観が類似性をもつ。よくない戦争観をもっている国ばかりになっている。世界の国々を見てみると、よい戦争観をもっている国はほとんどなくて、どの国も悪くなっているだろうから、そこを改めて行く。
暴力の装置をもつ。軍隊や警察だ。このさいの警察はおもに政治の警察をさす。国はその地域の暴力を独占しているのがあり、抑圧の装置(公の装置)をもっている。それとともに国は思想傾向(ideology)の装置ももっていて、その二つをふ分けすることがなり立つ。
アメリカやロシアは国の思想傾向の装置をもっているけど、それ以外の国もまたそれをもつ。イランやウクライナも国の思想傾向の装置をもっていて、国が戦うのをよしとしているものだろう。国のために戦うことをよしとしている。国による情報の統制である。
戦争をやっているのがアメリカやロシアだけど、それらを批判するのは、国の思想傾向を批判することだ。アメリカやロシアの思想傾向を批判して行く。本質をぎんみするようにすると、アメリカやロシアがもつ戦争観がよくない。それだけではなくて、イランやウクライナがもつ戦争観もまたよくないだろうから、それらもまた批判することがいる。
国が武力を使ったり、国が戦争をやったりするのは、罪ではない。よくない戦争観である正戦論や無差別戦争観だと、国が悪いことをやっても罪には当たらなくなってしまうから、それだとよくない。国が罪をおかしても、ばつを受けなくてよくなってしまう。不つり合いになる。つり合いがとれない。
アメリカやロシアは罪をおかしているのだからばつを受けないとならないけど、そこで関わってくるのが応報律だ。罪にたいするばつは、人が人為や人工で構築したものなので、自然なものとはちがう。
罪とばつを結びつけるのは、人がかってにやっていることであり、結びついていないといえば結びついていない。それを証明してしまっているところがあるのがアメリカやロシアがやっていることだ。善悪の彼岸(ひがん)まで行ったら、罪もなくばつもない。ぜったいといえるほどの善や悪はない。相対論だ。
善悪の彼岸まで行くのだときょくたんだ。そこまで行くと行きすぎだけど、語彙(ごい)はあるとできる。内容はともかくとして形式論としての語いはある。これだけは脱構築(deconstruction)ができないといった語いはあり、善、悪、正義、正しい、正しくない(不正)といったものだ。
ほかのものだったら脱構築ができる。侵入(hacking)がなり立つ。思いこみへの侵入だ。内容を抜きにした善、悪、正義、正しい、正しくないといった語いだけは脱構築が不可能だ。これらだけは一から作り直せない。侵入できづらい。フランスの思想家のジャック・デリダ氏による。
むずかしさがあるのが応報律だけど、そこでいまいちど大前提の価値観まで見て行くようにしてみる。国が罪をおかしてもばつを受けなくてもよいとなったら、国が罪をおかしほうだいになってしまう。国が失敗をしでかす。むぼうな戦争、人権の侵害、権力の独裁といった大きな失敗だ。
国に罪をおかさせないようにするためには、違法戦争観によるようにして行く。武力の力(hard power)ではなくてできるだけ文化の力(soft power)によるようにして、国どうしの平和をなすようにして行きたい。世界において軍縮をやっていって、核の兵器をなくすようにすることがいる。
擬制(ぎせい)の終えんがある。政治への不信が深まっていて、政治への信頼が損なわれている。信頼がなくなっている中で、二つの回路があるうちの、議会の外が重みをもつ。国ではないそれ以外のものの重みが高まっている。議会の外の反対の勢力(opposition)がいる。議会の内の反対の勢力は野党だ。
軍縮や核の兵器をなくして行くさいに、国はあまりあてにならないから、国ではないそれ以外のものの重みが増している。軍拡をやりがちな国を批判して行く。批判がどんどん増えて行くようにしたい。国の政治と軍需の産業との結びつきを悪いものだと見なして、なくすようにする。政治と軍事のわるい複合体だ。
参照文献 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹 『JAPAN UNMASKED : The Character & Culture of the Japanese』Boyé Lafayette De Mente 『法哲学入門』長尾龍一 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信 『境界線の政治学』杉田敦(あつし) 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『戦争の克服』阿部浩己(こうき) 鵜飼哲(うかいさとし) 森巣博 『現代思想を読む事典』今村仁司(ひとし)編 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『罪と罰を考える』渥美東洋(あつみとうよう) 『日本の刑罰は重いか軽いか』王雲海(おううんかい) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『人を動かす質問力』谷原誠 『超訳 日本国憲法』池上彰(いけがみあきら) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『日本国民のための愛国の教科書』将基面貴巳(しょうぎめんたかし) 『市民の政治学 討議デモクラシーとは何か』篠原一(しのはらはじめ) 『大学受験に強くなる教養講座』横山雅彦 『十三歳からの日本外交 それって、関係あるの!?』孫崎享(まごさきうける) 『平和を創る発想術 紛争から和解へ(岩波ブックレット)』ヨハン・ガルトゥング 京都 YWCA ほーぽのぽの会訳 『テロリズムと日常性 「九・一一」と「世なおし」六十八年』加藤周一 凡人会 『ポケット図解 構造主義がよ~くわかる本 人間と社会を縛る構造を解き明かす』高田明典(あきのり) 『構築主義とは何か』上野千鶴子(ちづこ)編 『情報政治学講義』高瀬淳一 『善と悪 倫理学への招待』大庭健(おおばたけし) 『〈現代の全体〉をとらえる一番大きくて簡単な枠組 体は自覚なき肯定主義の時代に突入した』須原一秀(すはらかずひで) 『信頼学の教室』中谷内一也(なかやちかずや) 『徹底図解 社会心理学 歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』山岸俊男監修 『環境 思考のフロンティア』諸富徹(もろとみとおる) 『憲法という希望』木村草太(そうた) 『思考のレッスン』丸谷才一(まるやさいいち) 『ヒトラーの正体』舛添要一(ますぞえよういち) 『原理主義と民主主義』根岸毅(たけし) 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『共謀者たち 政治家と新聞記者を繋(つな)ぐ暗黒回廊(かいろう)』河野太郎 牧野洋(よう) 『増補 靖国史観 日本思想を読みなおす』小島毅(つよし)