さなえへの備え:備えの必要性

 さなえあればうれい無しなのか。

 うれいが無いのではなくて、ある。そうしたことも言われている。たとえ高市首相があるのだとしても、うれいはある。高市首相があるからこそ、うれいがおきてしまう。

 備えについてを見て行く。与党である自由民主党の高市早苗(たかいちさなえ)首相があれば(いれば)よいのではなくて、高市首相にたいする備えがいる。そのように見なしてみたい。

 さなえあればうれい無しであるのよりも、さなえにたいする備えがあればうれいはちょっと少なくなる。さなえへの備えだ。

 さなえにたいする備えとは、不確実性への備え(contingency plans)である。かならずしも確かだとはできないのが高市首相のなすことだろう。必ずみんなの期待にこたえられるとはかぎらない。やることが必ず成功するとはかぎらず失敗することがある。

 いまの時代は確かなありようとはちがう。不確実性の時代(the age of uncertainty)だ。アメリカの学者のジョン・ケネス・ガルブレイス氏による。たしかな方向をもっていない。集団が方向を見うしなう。未曾有(みぞう)である。集団の統治(governance)がききづらい。

 日本は後発の近代の国だ。戦後において、一九八〇年ころまでは、追いつき追いこせ(catch-up)でやってきた。後発の近代の物語である。豊かな社会を目ざす。みんながお腹を満たせるようにする。みんながお腹をいっぱいにできるようにして行く。

 追いつき追いこせのころは、わかりやすい物語があったけど、それを達したあとは、集団の方向がなくなっている。わかりやすい物語を失う。みんなで一つの価値を共有しづらい。哲学でいわれる共苦がなり立ちづらくて、一人で悩みを抱えこむ。哲学者の西研(にしけん)氏による。

 共苦がなり立ちづらいので、どちらかといえば、一人で穴ぼこに落ちてしまう。生の多様化からきているものである。負(minus)のことがらをお互いに分かり合いづらい。負を人どうしで交通(communication)させづらくて、交通がさえぎられる。

 日本は英米をお手本にしているから、新自由主義(neoliberalism)だ。自己責任の社会のありようである。うまく行かないのはその人のせいだとされてしまう。危険(risk)の個人化である。政治学者の山口二郎氏による。

 政治では、反対の勢力(opposition)がある。高市首相にたいする反対の勢力があれば、だ円を形づくれる。だ円の哲学だ。大平正芳(おおひらまさよし)元首相による。だ円を作ることによって、備えがなり立つ。

 議会の内や外にいるのが反対の勢力だ。議会の内にいるのは野党である。内閣を支持するのであればそれは野党ではなくて与党だ。与党の与の字は、味方の意味をあらわす。内閣の味方である。内閣の味方をするのだったらそれは野党ではない。与党である。そのようにおしはかれる。

 野党は内閣を支持しないのであることがいる。内閣を批判する立ち場をとる。内閣の本質をぎんみして行く。政治の権力をしっかりと批判しないのであればそれは野党とは見なせない。批判をしない野党は、それがあることの理由や価値を大きく失う。

 議会の外には、報道の機関(media)がある。いまは報道の売り上げが落ちている。新聞などの売り上げが落ちているから、政治の権力への監視(check)が弱まっている。政治の権力が悪いことをするのに歯止めがかかりづらい。

 売り上げが落ちて弱まってしまっているが、報道は重みをもつ。日本の国がもちこたえられるかどうかは報道にかかっている。このさいの報道とは、右派ではなくて左派の報道の機関をさす。左派の報道の機関がだめになると、その国は持ちこたえられなくなるだろう。すぐにではないにせよ、おそかれ早かれ国が右肩下がりになってしまう。

 だ円の形がある。円の中に焦点が二つあることがいる。たんなる円のように一つの中心があるだけではなくて、焦点が二つあれば、脱中心化がなり立つ。緊張がおきるので、それがよくはたらく。

 さなえへの備えはいらないのかといえば、そうではなくて、いる。不確実性があるのはまぬがれないから、不確実性への備えをとるようにする。高市首相にたいする反対の勢力があったほうがよくて、たがいに対立し合うことによって緊張がおきたほうがいざとなったさいに受ける傷を小さくできる。

 不確実性への備えである、さなえへの備えをおこたっていると、いざとなったさいに受ける傷が大きくなってしまう。うれいが大きい。たとえば国の外にたいしては、外交と安全保障の政策があるけど、それに失敗したとすれば、日本が受ける傷は大きくなる。高市首相が外交の政策で失敗すれば、日本は戦争をするはめになる。さいあく、戦争になりかねない。

 日本が戦争をしないためにも、さなえへの備えを十分にもっておきたい。さなえへの備えとしては、外交と安全保障の政策で、ひとつには日中の友好を言うことがいる。日中の友好をうんと言う。それをいっぱい言うようにすれば、さなえへの備えになり、うれいをほんのちょっとだけ少なくできる。日本とほかの国とのあいだの友愛だ。友愛の改革をなして行きたい。

 参照文献 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹 『JAPAN UNMASKED : The Character & Culture of the Japanese』Boyé Lafayette De Mente 『十三歳からの日本外交 それって、関係あるの!?』孫崎享(まごさきうける) 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき) 『歴史を繰り返すな』坂野潤治(ばんのじゅんじ) 山口二郎 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『政治家を疑え』高瀬淳一 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『構築主義とは何か』上野千鶴子(ちづこ)編 『これが「教養」だ』清水真木(まき) 『十八歳からの民主主義』岩波新書編集部編 『絶対に知っておくべき日本と日本人の一〇大問題』星浩(ほしひろし) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『本当にわかる論理学』三浦俊彦 『日本の難点』宮台真司(みやだいしんじ) 『思考のレッスン』丸谷才一(まるやさいいち) 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『こうして組織は腐敗する 日本一やさしいガバナンス入門書』中島隆信 『そして、みんなバカになった』橋本治(おさむ) 『哲学の味わい方』竹田青嗣(せいじ) 西研 『信頼学の教室』中谷内一也(なかやちかずや) 『悩める日本人 「人生案内」に見る現代社会の姿』山田昌弘 『現代思想を読む事典』今村仁司(ひとし)編 『十八歳からの格差論 日本に本当に必要なもの』井手英策(えいさく) 『「責任」はだれにあるのか』小浜逸郎(こはまいつお) 『政治のしくみがわかる本』山口二郎 『あいだ哲学者は語る どんな問いにも交通論』篠原資明(しのはらもとあき) 『社会的排除 参加の欠如・不確かな帰属』岩田正美