政治家を、推(お)してもよいのか。
推し活といわれる。活動である。高市首相をよしとすることが多くなされている。選挙で大勝ちしたのが高市首相だ。
事実と価値の二つにふ分けしてみたい。政治家を推すのは、事実だ。
ある政治家をよしとするのは、事実に当たることだけど、それとは別に価値を見てみたい。
価値としては、必ずしもある政治家をよしとすることが望ましいことだとはできそうにない。
すごく多くの人たちから推されている政治家がいる。与党である自由民主党の高市早苗首相は、すごく多くの人たちからよしとされている。推し活がなされているのが高市首相だけど、それはあくまでも事実にあたることだ。価値はまた別のことがらである。
よしとされるべきではないのにもかかわらず、ある政治家がよしとされてしまう。よしとされないほうがよいのに、その政治家がよしとされてしまうことがある。グレシャムの法則だ。悪貨は良貨を駆逐(くちく)する。ピーター(ローレンス・J・ピーター)の法則もまたある。
うんと悪い政治家をよしとしてしまうことがおきかねない。うかつに政治家をよしとすると、その政治家がすごい悪い政治家であったことがあとで分かったときに、手のうちようがなくなる。
すごくよいのが神さまだ。すごく悪いのが悪魔だ。神の死がある。哲学者のフリードリヒ・ニーチェ氏による。神さまと悪魔のように、よい政治家と悪い政治家がいるとして、はっきりと見分けることは困難だ。神さまと悪魔は見分けがつかないのだと、哲学者のアルトゥル・ショーペンハウアー氏は言う。人をあざむく。
頭がよくないから取りちがえるのだけではない。頭がよくても取りちがえる事例はけっこうある。頭がよい人でも、悪い政治家をよい政治家だと取りちがえてしまった事例がそこそこあって、あとで批判を受けることになる。神さまと悪魔は見分けがつきづらいことを示す。
かつて、ヒトラーは、ドイツの人たちからよしとされていた。多くのドイツ人たちからよしとされていたのがアドルフ・ヒトラーだったけど、あとでヒトラーはすごい悪い政治家であることが分かった。事実と価値の二つにふ分けをしたさいに、事実としてヒトラーはすごい多くのドイツ人たちからよしとされていたけど、価値としてはそれは悪いことだったのである。多くの人たちがヒトラーをよしとしたことが、悪くはたらく。
思うようにしてみる。うたがってみる。政治家についてを思うようにしてみると、自分がよしとする政治家が、とんでもなく悪い政治家ではないぜったいの保証はない。あとになって本当のありさまが明らかになることがある。あんまり強く政治家をよしとしてしまうと、あとでとり返しがつかないことがおきないともかぎらない。
すべての政治家が上の地位に行けるわけではない。上の地位に行く政治家は、へたをすると人々へ害や損をおよぼすおそれが高い。上の地位の政治家がうそをつくと、すごい大きな害や損が、人々にもたらされる。
表象(representation)なのが政治家だ。心の中の像(image)を外に表現したものだ。それそのもの(presentation)なのとはちがう。人々と、ぴったりとは合っていない。ずれをもつ。表象なのが政治家なのだから、人々へうそをつく。
政治家が言っていることは、その政治家がもつ意図(intention)とはずれている事例が多くある。たとえ悪い意図を内にもっていたとしても、わざわざ悪い意図をもっていますと発言(message)として言う事例はないだろう。悪い意図をかくし持っていることがあるのだとする見解(view)をもつことがなり立つ。
まったく悪くはない政治家をかりに色でいえば白だとすると、まっ白の政治家はあまりいそうにない。とりわけ上の地位に行く政治家はまっ白だとはできづらい。権力をもつほどの政治家は、多かれ少なかれ黒いところをもつ。下手をするとまっ黒のこともなくはない。
あんまり大胆に、政治家をよしとしないほうが無難だろう。うんと政治家をよしとしてしまうと、大胆なことをやっているから、あとでそれがわざわいすることがある。しんちょうさがあったほうがよい。できるだけ大胆にならないようにしてしんちょうさをもつ。
高市首相は多くの人たちからよしとされているけど、そこには大胆さが見うけられる。しんちょうさが足りていないところがある。もっとすごくしんちょうになって、高市首相があとでとんでもなく悪いことをしかねないのをくみ入れておく。すでに高市首相はとんでもなく悪いことを色々にやっているかもしれない。わるく言いすぎではあるけど、いちばん悪いことを想像することがなり立つ。
悪く言いすぎるのはよくないけど、そうかといって良くしすぎるのもまた考えものだ。よしとしすぎるのは、そういったように基礎づけたりしたて上げたりすることである。基礎づけ主義だ。それにたいする反基礎づけ主義がなり立つ。
反基礎づけ主義によるようにしてみる。基礎づけ主義によらないようにしてみると、そこまで飛びぬけてよしとできるような政治家はいそうにない。たとえ高市首相が多くの人たちからよしとされているのだとしても、よいものだと基礎づけたりしたて上げたりしているのだとよくない。否定の契機(けいき)が抹消(まっしょう)されている。よくないところを抹消することによって美化や象徴化される。
政治で、高市首相があとですごい悪いことをいっぱいやることは、可能性としてはなくはない。その可能性もなくはないから、しんちょうさをもって、いっぱい思ったほうがよい。政治家についてを思うようにして、うたがったほうが安全な側である。
参照文献 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹 『JAPAN UNMASKED : The Character & Culture of the Japanese』Boyé Lafayette De Mente 『うたがいの神様』千原ジュニア 『政治家を疑え』高瀬淳一 『科学的とはどういう意味か』森博嗣(ひろし) 『本当にわかる論理学』三浦俊彦 『知の技法』小林康夫 船曳建夫(ふなびきたけお) 『ヒトラーの正体』舛添要一(ますぞえよういち) 『うその倫理学』亀山純生(すみお) 『「責任」はだれにあるのか』小浜逸郎(こはまいつお) 『現代思想を読む事典』今村仁司(ひとし)編 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『疑う力 ビジネスに生かす「IMV 分析」』西成活裕(にしなりかつひろ) 『信頼学の教室』中谷内一也(なかやちかずや) 『徹底図解 社会心理学 歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』山岸俊男監修 『現代思想の断層 「神なき時代」の模索』徳永恂(まこと) 『歴史 / 修正主義 思考のフロンティア』高橋哲哉 『憲法が変わっても戦争にならない?』高橋哲哉、斎藤貴男編著 『超訳 日本国憲法』池上彰(いけがみあきら) 『教育 思考のフロンティア』広田照幸(ひろたてるゆき) 『構築主義とは何か』上野千鶴子(ちづこ)編 『科学との正しい付き合い方 疑うことからはじめよう』内田麻理香 『イマジネーション 今、もっとも必要なもの』赤川次郎