イスラエルとパレスチナをめぐる集団の板ばさみ(dilemma)

 パレスチナを国として認めるべきか。

 悪いのはパレスチナそのものだとはできそうにない。パレスチナの中で、イスラム教の原理主義の集団であるハマスだけが悪い。

 ふ分けをしてみると、ハマスは悪いけどパレスチナは悪いとはできないから、パレスチナを否認するのはのぞましくない。パレスチナを承認して行く。承認の正義である。

 イスラエルをめぐることで世界はどうなっているのかを見て行く。世界において板ばさみ(dilemma)がおきている。

 動物でいう猫がいる。猫の首に、ねずみたちが鈴をかけに行く。鈴をかけに行くことで、世界において板ばさみがおきている。

 一匹だけではなくて、数匹の猫がいる。まずハマスがいる。あとイスラエルアメリカがいる。三匹の猫である。

 大きさでいえばハマスは国ではないから小さいまたは中くらいの猫だろう。イスラエルは国だから大猫だ。アメリカは超巨大な猫である。

 ねずみは世界にいっぱいいる。いまは猫たちの首に鈴をかけに行こうとするねずみが増えている。だんだん臨界の質量(critical mass)に近づいているのがあるかもしれない。ある一定より以上に、ねこの首に鈴をかけに行こうとするねずみの数が増えれば、変革をなすことがなり立つ。

 まっとうな国が増えている中で、日本はそれに加われていない。日本をねずみだとすると、ねこであるイスラエルアメリカに協調している。ねこであるイスラエルアメリカの首に鈴をかけに行こうとしていないねずみなのが日本だろう。

 日本の中を見てみると、ねこの首に鈴をかけに行こうとしているねずみはけっこういる。みんながそうなのではなくて、ねこであるイスラエルアメリカに協調してしまっているねずみたちも少なからずいる。ほかには、イスラエルパレスチナのことへ関心があんまりなくて、そのことが疎遠な外部になっているねずみたちもいる。人それぞれで何に関心を持つのかがちがう。

 認識をみちびく利害の関心がある。人それぞれで色々な利害の関心をもっていて、それによってどこの何を認識するのかがちがってくる。日本では(残念ながら)みんながイスラエルパレスチナのことへ利害の関心をもっているとはできそうにない。人それぞれで色々な状況のちがいがあるからしかたがないところはある。

 総合しているととらえ方が大きい。総合しているのをふ分けしてみると、イスラエルぜんたい、パレスチナぜんたい、アメリカぜんたいが悪いとは必ずしもできそうにない。

 全体は非真実である。虚偽である。哲学者のテオドール・アドルノ氏はそう言う。イスラエルぜんたい、パレスチナぜんたい、アメリカぜんたいは非真実であり虚偽だ。

 総合でとらえると大きすぎるから、分析によって小さくして見ることがいる。部分を見て行く。森の中にある木に目を向けて行く。いっぱい木がある中で、とくに注目するのに値する木を見つける。

 森の全体は充実しているように見えても、その中の木はちがっている。さかんな活力を森がもっているのだとしても、その中にある木は、うつろな響きをたてる。いっぱいある木のうちで、うつろな響きをたてている木を見つけて行く。

 巨視(macro)によるのが総合だ。総合だとあんまり思考がはたらきづらい。分析によって微視(micro)で見て行く。分析の微視によるようにしたほうが思考がよりよく働きやすくなる。精神が活発にはたらく。細部(detail)に目を向ける。

 ふ分けをしてみると、イスラエルの中でとくにベンヤミン・ネタニヤフ首相が悪い。ネタニヤフ首相は猫である。パレスチナでは、ハマスは猫である。アメリカではドナルド・トランプ大統領は猫だ。アメリカの中では民主党の政治家にはイスラエルに協調しない人たちもいるようである。

 世界中でみんなが猫たちの首に鈴をかけに行く。世界にはいっぱいねずみたちがいるから、みんなでねこの首に鈴をかけに行ければ、臨界の質量に達するから、変革をなすことがなり立つ。

 猫と協調する誘引(incentive)がはたらく。ねずみが猫と協調する誘引があり、それがはたらく。日本は、猫と協調する誘引がはたらきやすい。イスラエルアメリカのことをきびしく批判しない。甘く許してしまっているところがある。

 猫と協調してしまうと板ばさみがおきる。ねずみが一匹だけだったら板ばさみはおきないけど、ねずみたちでなり立つのが世界である。

 一匹だけだったら、ほかのねずみとぶつかり合うことがない。一匹の内だけで完結する。人でいえば、個人と集団のちがいである。個人主義集団主義(全体主義)が、対立し合う。

 集団の中にはいっぱいねずみたちがいるけど、その中で猫と協調する誘引がはたらき、その誘引にそって行動してしまう。臨界の質量までいたらなくなる。変革がおきない。悪い猫がいつまでも力をもちつづけることになる。

 参照文献 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹社会的ジレンマ 「環境破壊」から「いじめ」まで』山岸俊男 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき) 『構築主義とは何か』上野千鶴子(ちづこ)編 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『原理主義 思考のフロンティア』臼杵陽(うすきあきら) 『政治って何だ!? いまこそ、マックス・ウェーバー『職業としての政治』に学ぶ』佐藤優 石川知裕 『目のつけどころ(が悪ければ、論理力も地頭力も、何の役にも立ちません。)』山田真哉(しんや) 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『現代思想を読む事典』今村仁司(ひとし)編 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『〈現代の全体〉をとらえる一番大きくて簡単な枠組 体は自覚なき肯定主義の時代に突入した』須原一秀(すはらかずひで)