失われた日本の三〇年の謎をとき明かす:自民党の失政と左派の報道の影響

 なんで、日本は失われた三〇年になってしまったのだろうか。

 経済がよくない。不況の三〇年だったという。

 いま日本の国が完全になくなっているわけではないから、まがりなりにも三〇年を持ちこたえてはいる。首の皮一枚ではあるかもしれないが、なんとか日本はもっている。今のところはだ。

 よいのではなくて悪いなりにも、日本がここ三〇年ほど持ちこたえられているのは、何のおかげなのだろうか。何のおかげかといえば、与党である自由民主党のおかげなのではない。

 むしろ自民党は、ここ三〇年ほどの日本を悪くさせた主たるものだろう。主たるものであるとできるわけとしては、何だかんだいって、自民党に甘い。自民党を甘く許す。甘えの構造だ。自民党ができるだけ力を持てるように、日本の政治はなっているのである。強者や勝者に都合がよい仕組みだ。かなりの上げ底である。

 悪いなら悪いなりにここ三〇年の日本が何とか持ちこたえられているのは右派の新聞社のおかげなのではない。左派の新聞社のおかげなのである。主たるものとしては朝日新聞だ。あと、野党の日本共産党赤旗(あかはた)をふくむ。朝日新聞ではなくて赤旗を主たるものとしてもよい。ほかには東京新聞なども左派のところを持つ。

 いやいや、ちがう。日本を持ちこたえさせているのではない。何とか持ちこたえさせているのではなくて、その反対だ。日本を悪くしているのが左派の新聞社であり共産党だ。赤はただ。右派の人はそう見なすだろう。朝日新聞をしつように叩く。共産党を排除して行く。

 叩かれたり排除されたりしているのが左派の新聞社だ。ここ三〇年でそれがおきてきた。朝日新聞はかつてよりも弱まってしまっている。朝日新聞が弱体化したことによって、日本が悪くなったのである。失われた三〇年をみちびいた。

 右派の人からすれば、左派のものを叩く。排除して行く。朝日新聞共産党はその標的(target)だ。叩かれたり排除されたりするところのものであるのが左派の新聞社であり、ぜい弱性(vulnerability)をもつ。日本の国がもつ思想の傾向(ideology)が強まることになる。

 とりわけ左派の新聞社を叩くのがひどくなったのが、二〇一〇年代からの、自民党安倍晋三元首相によるものだ。三〇年のうちで、とくに二〇一〇年代からの安倍元首相による朝日新聞へのしつような攻撃が、日本を悪くした。失われた三〇年に、拍車がかかったのである。だめ押しになった。日本にとどめをさす。

 どうやったら、日本の失われた三〇年をとり戻せるのだろうか。とり戻し方には人それぞれで色々な見なし方があるだろうけど、左派の新聞社を強めて行く。朝日新聞がじゅうぶんな力を持てるようにして行く。共産党の赤はたが、どんどん力をつけて行く。

 力を失って弱まっているのが左派の新聞社なのだから、それを元気にさせる。元気になればなるほど、日本をとり戻せる。いまは元気を失っているから、失われた三〇年をとり戻せていない。

 報道の力をどんどん高めて行く。情報を民主化して行く。情報の民主化のかぎをにぎるのが左派の新聞社だ。朝日新聞共産党の赤はたがうんと元気になれば、日本を持ちこたえさせることがなり立つ。ゆとりを持って日本を持ちこたえさせることができるようになり、日本の国の経済に力がおきてくることになる。

 くれぐれも、日本を持ちこたえさせているのは自民党や右派の新聞社のおかげだとは見なさないようにしたい。それらは、日本を持ちこたえさせているのではなくて、日本の失われた三〇年をみちびいた主たるものなのである。右派の新聞社は、日本の国がもつ思想の傾向の装置の一つだ。

 警察や軍隊は、国の公の装置である。そのほかに国が持っているものとしてあるのが、国の思想の傾向の装置だ。右派の新聞社がある。広くは報道機関だ。学校や会社などもそうである。

 媒体としては新聞社だけではなくて放送の会社もあるけど、放送は右に傾きがちだ。ぶれがちである。左から右へといった転向がかんたんにおきる。あれからこれへの転向だ。

 なんで放送は右に傾きやすいのかといえば、一つには放送の法律があるからだ。放送法は、表現の自由をうばう。言論法として働いてしまうのである。政治の権力からなにかと介入されやすいのが動画による放送の世界だ。テレビ民主主義がなり立つ。

 日本を持ちこたえさせてくれるものである左派の新聞社を叩く。弱める。良いものを排除してきた。三〇年が日本で失われて、経済が良くないのは、もっともなことなのである。三〇年が日本で失われてしまったのはあるけど、よく見ればかろうじて日本は持ちこたえているのがあり、それは左派の新聞社のおかげなのである。

 参照文献 『思考のレッスン』丸谷才一(まるやさいいち) 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『情報政治学講義』高瀬淳一 『絶対に知っておくべき日本と日本人の一〇大問題』星浩(ほしひろし) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『共謀者たち 政治家と新聞記者を繋(つな)ぐ暗黒回廊(かいろう)』河野太郎 牧野洋(よう) 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹現代思想を読む事典』今村仁司編 『新・現代マスコミ論のポイント』天野勝文、松岡新兒(しんじ)、植田康夫編著