積極ではなくて、消極からのイスラエル批判:消極の価値をもち出す

 積極に、イスラエルは悪いとできるのだろうか。

 パレスチナに暴力をふるっているのがイスラエルなのだから、イスラエルは積極に悪いのだとすることがなり立たなくはない。

 積極にではなくて、消極のところからイスラエルを批判してみたい。

 イスラエルを批判するさいに、積極にやるべきであって、消極にやるべきではないとすることができる。積極だったらたのもしいけど、消極にだったら弱々しい。たよりない。

 なんで積極にではなくて消極にイスラエルを批判してみるのかといえば、価値の中には積極に定義づけできないものがあるからだ。

 色々な価値がある中で、三大の価値は積極には定義づけできづらいのだとされる。自由、平和、正義の三つだ。

 三つの価値を積極に定義づけできるのであれば、それそのものが確固とした自己同定(identity)をもつ。それじたいが独立した実体としてある。

 はっきりとさせることができずにあいまいさがあるものは、自己同定が確かではない。あくまでもほかのものとの関係の中にしかない。

 イスラエルパレスチナは平和なのかといえば、そうとはできづらい。そのさいの平和とは、戦争がないことを示す。

 平和とはどういったものなのかを、肯定で語るのであるよりは、否定の差異性によってとらえてみると、戦争が起きていないありようだ。

 いまイスラエルパレスチナでは、たくさんの人が殺されている。おもにパレスチナの人たちに暴力が振るわれているから、戦争がおきているようなものだ。多くの人が殺されているのは、戦争がおきているといっても良いことだから、イスラエルパレスチナは平和ではない。

 どういうことが正義なのかを、肯定で語るのではなくて、否定の差異性によってとらえてみると、不正がないありようだ。

 世界の法の決まりである、国際法をやぶっていて、それに違反しているのがイスラエルだろう。例外のとき以外は武力を行使しないようにすることがいる。必要の最小の限度を大きく上まわった武力の行使を国内においてしているのがイスラエルだ。

 まったく不正をなしていないのであれば、イスラエルは正義によっているとできなくはないけど、一つより以上の不正をなしているのがイスラエルだ。不正がないとはできないのだから、イスラエルは正義だとはたしかには断言することはできない。イスラエルは正義なのだとは胸をはって断言することはできないことだ。

 戦争がおきていて、不正が一つより以上ある。それがイスラエルパレスチナのありようだ。まったく戦争がおきていなくて、まったく不正がない。いっさい不正はない。人々が上から何かを強制されることができる限り少ない。強制がないのであれば、自由だ。積極にではなくて消極に自由を定義づけすればそうすることがなり立つ。

 いまのイスラエルパレスチナがどうなのかを、積極には言い切りづらいけど、消極に見てみると、平和ではなくて、正義がなくなっていて、自由ではない。消極の点からするとそれらの三つがなり立っていないから、それらの三つができるかぎりなり立つようにして行く。

 イスラエルの言いぶんだったら、積極のありようだろう。いまのイスラエルは平和であり、正義によっていて、自由だ。正義のための行動をしているのがイスラエルであり、国がもっている自由において国が行動しているのにすぎない。

 自国の正当化や合理化をしているのがイスラエルであり、積極のありようによっている。イスラエルを批判するさいに、積極とはちがって、消極からやって行く。消極の点からすれば、平和でもなく正義でもなく自由でもないから、それらをできるだけなり立たせることがいるのがわかる。

 どうやって三つの価値をなり立たせるのかでは、いまの日本の憲法をもち出すことがなり立つ。平和主義によっているのが日本の憲法だ。三つの大きな主義のうちの一つである。平和主義は前文による。

 個人の自由をよしとするのが憲法である。個人の自由を基礎づける働きをになう。個人の尊重だ。個人を重んじることによって、国の公(集団の公)が肥大化するのを防ぐ。国の公がかなり肥大化していて、個人の私を押しつぶしているのがいまのイスラエルだろう。

 参照文献 『大学受験に強くなる教養講座』横山雅彦法哲学入門』長尾龍一カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『アイデンティティ(identity) / 他者性(otherness) 思考のフロンティア』細見和之(ほそみかずゆき) 『ナショナリズム 思考のフロンティア』姜尚中(かんさんじゅん) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『構築主義とは何か』上野千鶴子(ちづこ)編 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信超訳 日本国憲法池上彰(いけがみあきら) 『本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき四三七の事柄』クリス・ヘッジズ 伏見威蕃(いわん)訳 『公私 一語の辞典』溝口雄三 『できる大人はこう考える』高瀬淳一