知事と役人がぶつかり合う。争い合う。
知事と役人とのあいだで対立がおきたとしたら、知事が正しいのだろうか。役人がまちがっているのだろうか。
民間人は正しいけど、役人はまちがっている。役人のことをだめだとする。学者や知識人をたたく。非民間人ならば、価値が低い。野党である日本維新の会のあり方だ。
兵庫県では、役人が内部告発をして、知事を批判した。知事と役人が争い合う。地位は知事のほうが上だから、役人に圧力をかけた。圧力をかけられたこともあり、これまでに役人の中で二人の自殺者が出ている。
内部告発をされて、二人の自殺者が出てはいるけど、知事をかばう声もある。正しいことをやっているのが知事だ。既得の権益とたたかう。悪いものと戦っているのがあり、それで知事は批判にさらされているのだという。悪いものから攻撃を受けている。
三つの点から、知事と役人のぶつかり合いを見てみたい。主体と手段と争点の三つの点だ。
主体としては、二人いる。知事と役人だ。手段としては、知事は権力の乱用をした疑いがある。自分の地位を不当に使った。それで下の役人に圧力をかけたのである。
悪い手段を使ったわけではないのが役人だ。使っても良い手段を使ったのがあり、内部告発の制度を使ったのである。合法だ。切り札としての権利を使ったのである。
悪いことをした疑いがあるのが知事だ。それで役人から内部告発されたのである。知事が悪いことをかげでしていたのかどうかが争点だ。
どういうことを知事はやるべきだったのかがある。批判をしてきた役人をおもてなしする。役人を客むかえ(hospitality)する。承認して行く。否認するのだと良くない。
もとから役人のことを否認していたのが知事だろう。役人のことを承認していなかった。関西で力をもつ維新の会は、役人のことを叩いている。民間人に比べてひどく劣っているのが役人なのだとしている。民間人はえらいけど、役人は悪いのだと見なす。学者や知識人は悪い。偏見である。
民間人よりも劣っているどころか、すごく見こみがあるのが、知事を批判した役人だろう。民間人であったとしても、だらしがない人は少なくない。上の地位の人を批判しない。上の地位の人が悪いことをやっていたとしても、見て見ぬふりをしてしまう。
もともと役人は民間人よりも劣っているのがあり、その上、知事のことを批判する役人はなおさら悪い。兵庫県の知事は、そのように見なしたのかもしれない。はじめから、役人にたいして偏見を持っていたのが災いしたのである。
まちがった偏見をもたないようにしたい。民間人に比べて役人は劣っているのだとはしないようにして、そのうえで、役人のあり方に悪いところがあればそこを批判するのはあってよいことだ。
役人が批判されるだけではなくて、知事も批判されなければならない。知事に悪いところがあるのだとすれば、どんどん批判して行く。ばしばし上の地位の政治家を批判して行く。
批判にたいして開かれていないとならないのが知事だ。役人もまた、批判に開かれていることがいる。批判をこばむのは良くないのがあり、他からの批判にたいして開かれているのがいる。
とくに悪い手段を用いたのではないのが役人なのだから、知事は役人からの批判を受けとめて行く。役人をおもてなしする。争点を片づけるようにして行く。切り札となる権利を使っただけなのが役人なのだから、許容されることがいる。
いっさい内部告発することはいらないのだったら、制度がもとから作られていないはずだ。内部告発して、知事を批判することがいることがあるから、制度が作られている。必要があることなのだから、許容されないとならない。知事への批判は必要がないことだったのだとはできづらい。知事と役人のどちらの主体についても、批判に開かれていることがいるのだから、批判が許容されることがいる。
じかに知事が悪かったのだとはできづらい。じかのよし悪しは実質だ。実質はいきなりはわからないから、形式をふんで行く。内部告発の制度は形式の一つだ。形式をふんでいるのであれば、形式による支えをもつ。形式を抜きにしてじかに実質をとるのだと支えがないから弱い。形式によりつつ、実質をとるようにすれば、形式による支えがあるから、強さをもつ。じかにいきなり実質をとるとよし悪しがもう一つわからないから、法の決まりなどの形式を重んじるようにしたい。
参照文献 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『一三歳からの法学部入門』荘司雅彦 『「説明責任」とは何か メディア戦略の視点から考える』井之上喬(たかし) 『差別原論 〈わたし〉のなかの権力とつきあう』好井裕明(よしいひろあき) 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『反証主義』小河原(こがわら)誠 『問題解決力を鍛える 事例でわかる思考の手順とポイント』稲崎宏治(いなざきこうじ) 『法律より怖い「会社の掟」 不祥事が続く五つの理由』稲垣重雄 『よくわかる法哲学・法思想 やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ』ミネルヴァ書房 『法哲学入門』長尾龍一 『考える技術』大前研一 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹 『これが「教養」だ』清水真木(まき) 『本当にわかる論理学』三浦俊彦 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし)