クルド人の人たちへの差別がある。
差別がある中で、クルド人はいったいどういった人たちなのがあるだろうか。
日本の中心にいるのではない。日本の中心にいるのは日本人だ。
いま日本に住んでいるクルド人は、辺境(marginal)に当たる。辺境人だ。
差別を見て行くうえで、中心にいるとわかりづらい。辺境に身を置く。周縁に身を置いてみると、よくわかりやすい。負のことがらが見えてきやすいのである。
色々なところにある差別を見て行く。そのさいに、どこに身を置くのかでちがう。身の置きどころがものを言う。中心に身を置いていると、あまり差別が見えてきづらいけど、辺境に身を置くようにすれば、差別を問題化して行ける。
日本の地理では、本土は中心であり、沖縄県は辺境だ。本土にいると、沖縄県への差別がわかりづらい。差別を問題化することができづらく、軽んじてしまう。辺境である沖縄県からすれば、差別があるのがよくわかるのがあり、それを重んじることになる。
性でいえば、男性は中心であり、女性は辺境だ。男性が中心化されているのがあり、女性への差別がある。中心である男性からすると、女性への差別をついつい軽んじてしまう。女性の身にならないと、なかなか負のことがらが見えてきづらい。
政治の政党では、野党(opposition)である立憲民主党は中心ではない。そうかといって、ものすごく辺境なのでもない。ちゅうとはんぱである。立憲民主党よりももっと辺境のものとしては、左派の野党がある。日本共産党や、社会民主党や、れいわ新選組などだろう。
左派の野党は差別を受けている。立憲民主党は差別を受けているけど、そこをあまり重く見ていない。差別を重く見るのであれば、辺境に身を置きつづけることがいるけど、そうではなくて、辺境から中心に移りたい。立憲民主党にはその思わくがありそうだ。中心へ移ろうとするのは力(権力)への意思である。
辺境から中心に移ろうとしてしまうと、差別をとり上げることができづらい。もっと辺境に行くようにして、左派の野党である、共産党や社民党やれいわなどに目を向けてみる。そうすると、政治において差別がまかり通っていることが明らかになる。
中心へ、中心へ、ではなくて、そのぎゃくに、もっと辺境へ、もっと辺境へ、としてみる。そうしてみると、左派の野党の立ち場に立つことになり、与党である自由民主党のことを批判しやすい。
特権化されているのが自民党だ。普遍化できない差別である。自民党が特権化されているのが、自明性をもつ。あたかも、当たり前であるかのようになっている。
中立な立ち場から判断する思想なのが自由主義(liberalism)だ。自由主義からすれば、普遍化できない差別はあってはならないことだから、なくして行く。立ち場の反転の可能性の試し(test)をしてみて、普遍化できるかどうかをさぐる。つねに当てはまる性質なのが普遍だ。固有の性質なのが特殊である。普遍化できない差別なのであれば、それを排除しないとならない。
完全になくすことができず、あるていどあるのはやむをえないのが差別ではある。すぐには完全になくすことはできないけど、それがあってもよいのかといえば、そうとは必ずしもできそうにない。自由主義からすれば、普遍化できない差別は排除することがいるから、なくして行かないといけないものだ。
自由主義がこわれてしまっているのがいまの日本の政治だ。自民党が特権化されていてよい。左派の野党が差別されていてもかまわない。特権化や差別が、自明性をもつ。自明性の厚い殻(から)に、ひびを入れて行きたい。
自明性の厚いからにひびを入れて行くためには、中心に移ろうとするのでもなく、ちゅうとはんぱなところにいるのでもなく、いっそのこと辺境や周縁に身を置く。辺境に身を置いたほうが、負のことがらにびんかんになりやすい。政治における辺境といえば共産党があり、共産党は政治の負のことがらにけっこうびんかんだ。
汚いところがあるのが現実の政治なのだから、あるていど差別があるのはやむをえない。自民党が特権化されていてもしかたがない。すぐに政治の悪いところを正して行くことはできづらいのはあるけど、悪いところを自然化してしまうとまずい。
政治における悪いところをまるで自然なことであるかのようにしないで、脱自然化して行く。脱自然化して行くためには、中心に移ろうとしてしまうとよくない。立憲民主党は、中心に移ろうとするのではなくて、その反対に辺境や周縁に行ったらどうだろうか。辺境人になるようにして行く。
いまのところ立憲民主党は、中心に移ろうとしているところがあり、負のことがらにややどんかんだ。差別をよしとしていたり、自明性によっていたりするところがある。自明性によるのではなくて、自民党の特権化をゆるさない。普遍化できない差別を排除して行く。自由主義を立て直すようにすることがいるから、それをやれたらよい。
参照文献 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『差別原論 〈わたし〉のなかの権力とつきあう』好井裕明(よしいひろあき) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『ぼくたちの倫理学教室』E・トゥーゲンハット A・M・ビクーニャ C・ロペス 鈴木崇夫(たかお)訳 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編