長崎県で問われた民主主義

 民主主義が死んだ。どこのかといえば、欧米のである。

 イスラエルパレスチナに暴力をふるう。欧米の国はイスラエルのことをよしとすることで、民主主義が死んだと言われている。

 欧米の国において民主主義が死んだと言われるのをどのように見なせるだろうか。

 平和についてだけではなくて、民主主義について問いかける。民主主義への問いかけもなされたのが、長崎県でなされた平和の式典だった。

 なんで長崎県でなされた平和の式典で民主主義が問われたのかといえば、民主主義ならざる国の大使が、式典への参加をこばんだからである。具体としては、欧米の主要な七か国の大使が、おおむね式典への参加をとりやめた。

 すごい大事なものなのが平和だ。平和と同じくらい大事なものとして民主主義がある。平和や民主主義は、普遍の価値をもつ。つねに当てはまる性質なのが普遍である。

 いまの日本の国の憲法でよしとされているのが平和や民主主義だ。憲法の三大の主義の一つなのが平和主義である。憲法の前文による。

 三大の主義の一つに当たるものとして基本の人権尊重主義がある。誰しもが持っているものなのが基本の人権だ。人権が侵害されないようにしないとならない。侵害されやすいものなのが人権だから、できるだけそれが守られるような統治の機構にして行く。人権ができるだけ守られやすいような統治の機構がのぞましい。

 パレスチナに暴力をふるっているのがイスラエルなのだから、イスラエルをよしとすることは、その国の民主主義が死ぬ。イスラエルをよしとすることによって、民主主義ならざる国になってしまう。

 なんでイスラエルをよしとすると、その国の民主主義が死んでしまうのかといえば、基本の人権の否定になるからだ。パレスチナの人たちがもつ基本の人権を否定してしまう。民主主義では、基本の人権を保障することがいる。

 いくらパレスチナイスラム原理主義の集団であるハマスが悪いことをしているからといって、命そのものを否定してしまうのはまずい。どんなに悪い集団であるからといって、その集団の中の人たちの命だけはよしとする。たとえ悪い集団の人たちであったとしても、基本の人権は保障されないとならない。

 悪い集団だとされるハマスと関わるといったことで、パレスチナの人たちの命を軽んじてしまう。パレスチナの人たちの基本の人権を否定するのは、のぞましいことではない。

 欧米の国だけではなくて、日本の民主主義もまた死んでいる。たとえ長崎県の平和の式典において、民主主義が問いかけられたからといって、日本の民主主義が死んでいないわけではない。

 なんで日本の民主主義もまた死んでいるのかといえば、ひとつには日本は憲法を重んじていないからだ。憲法をこわしてしまっている。憲法を守るようにしないと民主主義によることができない。

 アメリカにくっついていっていて、アメリカに従属しているのが日本である。アメリカにおいて民主主義が死んでしまっているから、日本の民主主義もまた死んでしまう。アメリカでは民主主義が死んでいるけど、日本ではそれが生きているといったことなのではない。

 日本がアメリカを批判するようにすれば、アメリカの民主主義は死んでいるけど、日本の民主主義は生きていることがのぞめる。日本はアメリカを批判することがいるけど、それをやらないから、アメリカと同じように日本の民主主義も死んでいる。

 すごい意味が深い問いかけがなされたのが長崎県の平和の式典だ。意味がある問いかけがなされたのだから、問いかけがしっかりと受けとめられることがいる。いま欧米や日本の民主主義は死んでしまっているけど、それを生かすように改めて行く。

 民主主義を生かすように改めるためには、パレスチナの人たちの基本の人権をしっかりと重んじて行く。命だけはとにかく良しとすることがいる。何ごとであったとしても命あってのものだねであり、生きていなければはじまらない。死んでしまったら何にもならないのである。

 政治として、人の命に線引きをするのは良いことではない。生きていてもよい命と、死んでもかまわない命といったように、命について線引きをするのは、生命の質にちがいをつけることだ。政治として命に線引きをするのではなくて、生命の質にちがいはないとするようにしたいものである。そうでないと、欧米の人たちの命は重いけど、パレスチナの人たちの命は軽いといった、まちがった線引きをしてしまう。

 参照文献 『原理主義と民主主義』根岸毅(たけし) 『超訳 日本国憲法池上彰(いけがみあきら) 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編 『境界線の政治学杉田敦(あつし) 『暴力 思考のフロンティア』上野成利(なりとし) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『ナガサキ―一九四五年八月九日』長崎総合科学大学和文化研究所編