れんほう氏が選挙に敗北した真相:共産党といっしょになったから負けたのか

 なんで、東京都の知事の選挙で、れんほう氏は、二位どころか三位に甘んじてしまったのだろうか。

 共産党といっしょになって選挙を戦ったのが悪い。日本共産党と組んだから選挙に負けたんだ。三位になった蓮舫(れんほう)氏にたいして、そう言われているのがある。

 もしも共産党とは組まずに、他のものといっしょになってやったら、れんほう氏は選挙で勝てたのだろうか。それは定かとは言えそうにない。

 一位になることができずに三位になったことには、いろいろな要因があるものだろう。それらの要因を体系(system)として分析して行く。

 たんじゅんなのではなくて複雑なのがあるから、完全には読み切りづらい。複雑な系(complex systems)なのがあり、いろいろな要因がからみ合う。それで選挙の勝ち負けが分かれる。

 まちがえやすいものなのが、因果の関係だ。早とちりしてしまいがちだ。れんほう氏が選挙で負けたことの原因が、共産党から支援されたことにあるのだとは言い切ることはできづらい。

 負けたことの原因は何かを見て行くさいに、原因と結果の結びつきは目に見えるものではないことに気をつけたい。目に見えるものではないのが、原因と結果の結びつきなのだから、よっぽどしんちょうになって探って行かないと、誤りがおきてしまう。

 物語によるものなのが、原因と結果の結びつきだ。その物語が大きなものなのか小さなものなのかがある。大きな物語はなりたちづらい。みんながうなずくことができるような大きな物語がなりたちづらくなっているのがある。原因と結果の結びつきが不たしかなのである。

 かりに、共産党といっしょになったことがれんほう氏が負けたことの原因なのだとすれば、事前に共産党と組むことにした時点でれんほう氏の負けは確定していたはずだ。投票の日をまたずして、れんほう氏は負けることが決まってしまっていた。

 因果の関係は、原因から結果への流れではなくて、その逆だ。結果から原因をさかのぼっているのにすぎないのである。結果が出て、それから原因をさかのぼることになるのである。

 悪いことをしたら、ばつが下される。罪とばつだ。共産党といっしょになるのは罪に当たり、それによってばつがおきた。ばつとして、選挙で負けた。あたかもそうしたようなとらえかたがなされている。

 どういうことが罪なのかといえば、政治でうそをつく。学歴でうそをつく。政治でうそをつくのはよくないことだから、ばつが下されるべきだけど、日本の政治ではばつが下されない。

 政治でうそをつくことに比べたら、共産党といっしょになって戦うのはとくに悪いことではない。そうであるのにも関わらず、罪をおかしてもばつが下されなかったり、罪をおかしていないのにばつが下されたりしているのが日本の政治だろう。

 物語にすぎないものなのが、罪とばつのつながりである応報律だ。そのしょうこに、日本の政治では、政治家が罪をおかしてもばつが下されないことがあるし、罪をおかしていないのにもかかわらず罰がくだされることがある。大きな物語がなりたちづらくなっていて、罪とばつのあり方において、みんながうなずけるあり方になっていない。

 共産党とはいっしょにやらない。共産党を切る。そのあり方なのが小池百合子都知事だ。排除いたします、と言ったのが小池都知事であり、それとはちがうやり方でやっていったのがれんほう氏だろう。小池都知事とはちがい、包摂のあり方だ。

 勝ちやすいかどうかでは、共産党といっしょになってやるのだと、必ずしも勝ちが約束されているのではないかもしれない。勝ちが確かなものにはならないのはあるかもしれないが、小池都知事のような排除のやり方で勝つようにするのだと、勝ちの意味あいがうすまってしまう。

 排除のやり方でやっているのが小池都知事なのだから、それと同じやり方でやって行くのだとあまり意味がない。お互いに類似性によることになってしまう。差異性があるからこそ意味がおきる。共産党を排除するのではなくて包摂して行く。

 憲法立憲主義のあり方で、お互いに連帯して行く。立憲主義(憲法主義)のようなふへんの原理にもとづいて、それで仲間を増やして行くようにすることがいる。ふへんの原理によるようにしないと、その人が何をやるのかの予測がつきづらい。まっとうな原理にもとづいていないと、予測の可能性(predictable)が欠けてしまう。個人としての原理をしっかりともつようにすることが政治家にはいる。

 参照文献 『「科学的思考」のレッスン 学校で教えてくれないサイエンス』戸田山和久 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『徹底図解 社会心理学 歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』山岸俊男監修 『法哲学入門』長尾龍一 『うその倫理学』亀山純生(すみお) 『超訳 日本国憲法池上彰(いけがみあきら) 『社会的排除 参加の欠如・不確かな帰属』岩田正美 『なぜ「話」は通じないのか コミュニケーションの不自由論』仲正昌樹(なかまさまさき) 『「複雑系」とは何か』吉永良正 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『罪と罰を考える』渥美東洋(あつみとうよう) 『日本の刑罰は重いか軽いか』王雲海(おううんかい) 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『九九.九%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』竹内薫(かおる)