うんざりされる野党、冷笑される野党:冷笑をうながす自民党(与党)

 野党は批判ばかりだ。うんざりする。テレビ番組で女性の芸能人はそう言っていた。

 野党の女性の政治家が、東京都の都知事の選挙に出る。そこで、国の政治が持ちこまれてしまう。

 国は国、都は都であり、国の政治を都に持ちこむべきではない。与党を批判するべきではないという。はたして、都においてまったく与党の批判をしなくてもよいのだろうか。

 都は国の中の部分なのだから、国の政治とまったく関わりがないとはできそうにない。

 関係し合うことがらが集まったものなのが体系(system)だ。

 体系としては、国の体系と都の体系があるけど、それらは関係し合う。体系どうしが関わり合っているのである。

 国から完全に自立や独立したものなのが都の体系だとはできづらい。つながり合う。結びつき合っている。体系のあいだのげんみつな線引きはできそうにない。

 テレビに出ていた女性の芸能人が言うように、野党は批判ばかりなのかどうかは定かではないのがある。

 じっさいの野党が批判ばかりであるよりも、それは表象された野党のすがただろう。心の中の像(image)を外に表現したものなのが表象(representation)だ。じっさいの野党そのもの(presentation)とはずれているのである。

 野党がどうかとは別に、それよりも広く見てみて、日本は何ばかりなのだろうか。

 日本は何ばかりなのかといえば、冷笑ばかり、薬ばかり、与党ばかりといったあり方である。

 冷笑(cynicism)ばかりになっているのがある。批判が欠けてしまっている。権力への批判がいるのがあるけど、それが欠けていて、冷笑ばかりになっていると、独裁化が進む。右傾化が進んで行く。

 民主主義から専制主義に横すべりしているのが日本の国の政治である。民主主義がこわれていて、専制化がおきている。そこからうかがえるのは、権力への批判が欠けているありさまだ。冷笑がすごくおきているから、政治が専制化しているのである。

 薬に当たるものなのではないのが批判だ。薬ではなくて毒にあたるのが批判である。野党は批判ばかりでよくないのだとするのは、毒がよくないとすることに等しい。

 権力の奴隷(どれい)や、権力のたいこ持ちがいる。それらがたくさんテレビ番組に出ているのが日本のありようだ。権力をよしとするのは薬に当たるけど、それが毒に転じてしまう。現代思想でいわれる薬と毒の転化(pharmakon)や両面価値性だ。

 いま日本の経済では、円安と物価高がおきている。円安は、薬だ。物価高は、薬だ。そうしたことで、円安と物価高がおし進められてきた。ほんとうに薬に当たるものなのが円安と物価高なのだとは言い切れそうにない。薬が毒に転じてしまう。少なくない人たちが、日本の中で円安と物価高で苦しむ。生活が苦しくなっているのである。

 すごくよくないものであり、毒にあたるものだとされているのが円高と物価安だ。日本の経済にとってよくない毒に当たるものだとされている。それで毒が否定されてきたけど、毒が薬だった見こみがある。毒のようでいて、薬だったのである。円高と物価安のほうが、生活は楽だとされる。生活にかかるお金が安くてすむ。

 むずかしいところがあるのが経済の政策だろう。薬のようでいて毒になる。毒のようでいて薬になる。ひと筋なわでは行かない。

 薬であったとしても、毒をともなう。痛みをともなう。経済では、一時としてはすごい痛みがおきるものがあり、痛みなくして得るものなし(No gain without pain.)のことがある。構造の改革などである。

 与党である自由民主党の一強のあり方がつづく。いわば、与党ばかりのあり方なのが日本の政治だ。与党だけだと、色でいえば一色だけである。一色で日本の国がぬりつぶされてしまう。

 せめて二色はいるのが民主主義である。一色だと足りない。与党と野党の二色がないと、人々の色々な声をすくい上げられない。一色だけだと声のとり落としが多くおきてしまう。たんじゅん化しすぎになる。

 いくら多数派なのだとはいっても、日本の国の全体をくまなく代表することができないのが与党だ。政党(political party)は国の部分(part)しか代理していない。与党の自民党といえども、すべての日本人のことを代理しているわけではないのである。すべての日本人(日本の国にいる人)を代理することは不可能だ。

 それぞれの人が、自分の好きな色を選ぶ。二色あるうちのどの色を選んでも自由だ。二色だけではなくて多色であればよりのぞましい。

 色を選ぶ自由がないのが日本の政治だろう。色を選ばせない。与党の一色だけが正しい。一色だけに価値がある。この色を選んでもよいし、あの色を選んでも良いとはなっていなくて、反自由の政治になっている。

 一色だけの、与党ばかりのあり方を改めて行く。一色だけでぬりつぶされてしまっているから、せめて二色にして行く。日本の政治は、一色に染まりやすいから、そこに気をつけないとならない。

 気をつけないと、冷笑ばかり、薬ばかり、与党ばかりのあり方が改まって行かない。薬ばかりなのは良さそうだけど、毒に転じてしまう。日本の国の全体に毒が回る。毒が回り、治せなくなると、国がはめつしてしまう。

 参照文献 『本当にわかる現代思想』岡本裕一朗 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『右傾化する日本政治』中野晃一(こういち) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『境界線の政治学杉田敦(あつし) 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『小学校社会科の教科書で、政治の基礎知識をいっきに身につける』佐藤優(まさる) 井戸まさえ