野党(opposition)の立ち場はどうあるべきか:悪い法案への立ち位置を問いかける

 野党は、与党の出す案を、よしとするべきなのだろうか。それとも案に反対をするべきなのだろうか。

 与党が悪い法律の案を出す。悪い案だったら、野党はそれに反対をするべきだ。野党は反対をするべきなのにもかかわらず、よしとしてしまう。賛成してしまう。そういったことが現実にはおきている。

 反対の勢力(opposition)なのが野党だ。そうであるのにも関わらず、賛成してしまってどうする。反対しないでどうする。反対の勢力ではなくなってしまう。

 どういうふうにするべきなのかの、べき論はさしあたって置いておきたい。野党はどうするべきかのべき論はとりあえず置いておけるとすると、かんたんなのと難しいのとの二つのものをあげられる。

 野党である立憲民主党は、与党である自由民主党が出す案に、反対しないことが少なくない。自民党が出す案をよしとしてしまう。賛成してしまう。何でもかんでも自民党の出す案に反対するわけでもないのが立憲民主党だろう。

 どちらかといえば、かんたんなのではなくて難しいことをしてしまっているのが野党の立憲民主党である。

 いちばん簡単なのは、自民党の出す案に、何でもかんでも反対することだ。自民党のやることなすことに、何でもかんでも立憲民主党は反対して行く。これがいちばん易しい。たやすい。

 良いことなのかそれとも悪いことなのかはちょっと置いておけるとすると、少し難しいことをやってしまっているのが野党の立憲民主党だ。与党である自民党の出す案をよしとする。自民党の案に賛成する。反対するのではなくて、自民党の出す案に賛成してしまうと、難易度が上がることになる。

 なんで自民党の出す案に賛成すると難易度が上がるのかといえば、労力をかけなければならなくなるからだ。どういうことに労力をかけることがいることになるのかといえば、反対者を説得することである。反対者を説得しなければならなくなるのである。

 反対者をきちんと説得したうえで、自民党の案に賛成することができているのかといえば、それがうまくできていないのが立憲民主党だろう。反対者を説得することができていない中で、自民党の案に賛成しているのが立憲民主党だ。反対者の説得がうまくなくて下手なのがある。

 易しいのではなくて難しい道をとってしまっているのが立憲民主党である。労力をよりかけなければならない道をとってしまっているのである。きちんと労力をかけているのかといえば、それを省いてしまっているところがあり、反対者をうまく説得できていない。反対者を納得させられていないのである。

 どういうふうに立憲民主党をとらえられるのかといえば、易しい道ではなくて難しい道をとっているのは、えらいといえばえらい。たんに自民党のやることなすことに反対するだけなのであれば、かんたんな道なのだから、必ずしもほめるのに値するものではない。

 難しい道をとっているから、そこはえらいといえばえらいけど、かけるべき労力をそこまでかけていない。反対者をきちんとていねいに説得することをやっているとは言いがたい。労力をそこまでかけていなくて省いてしまっているところがあるのが立憲民主党だから、そこはえらくない。もっと労力をかけるようにして、反対者に働きかけるようにしたり、反対者の声を受けとめるようにしたらよいのがある。

 自民党に、賛成したら賛成したで、たたかれる。反対したら反対したで、たたかれる。どちらにしてもたたかれてしまうのが立憲民主党だろう。構成の矛盾(dilemma)である。

 与党の案に賛成をするさいには、反対者にきちんと働きかけたり、声を受けとめたりするようにしたらよい。そこが欠けているのがざんねんだ。まったくやっていないわけではなくて、少しは働きかけや受けとめをやっているのはあるだろうけど、十分ではなくて足りなさがある。

 参照文献 『新聞の読みかた』岸本重陳(しげのぶ) 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『「野党」論 何のためにあるのか』吉田徹 『逆説思考 自分の「頭」をどう疑うか』森下伸也(しんや) 『信頼学の教室』中谷内一也(なかやちかずや) 『「説明責任」とは何か メディア戦略の視点から考える』井之上喬(たかし) 『法哲学入門』長尾龍一 『ブリッジマンの技術』鎌田浩毅(ひろき) 『大学受験に強くなる教養講座』横山雅彦カルチュラル・スタディーズ 思考のフロンティア』吉見俊哉(よしみしゅんや) 『本当にわかる論理学』三浦俊彦 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信