共産党と、その報道のあり方―共産党による報道(赤旗)の、よさと悪さ

 報道にたいして、注文をしているのが共産党だ。

 共産党を批判する報道に、注文をつけているのが共産党だけど、それはふさわしいことなのだろうか。

 日本共産党によるものなのがしんぶんの赤旗(あかはた)だけど、その赤旗にたいして注文をしてみたい。

 すぐれているところがあるのがしんぶんの赤旗だ。すぐれているのは、日本の国にたいして自律性(autonomy)をもてているからだ。日本の国にたいして、他律性(heteronomy)によるのではない報道をやっているのが赤旗だ。他律性によるだけなのではない報道をしている。

 保守の報道の機関なんかだと、他律性によるだけになっている。自律性がない。国の思想の傾向(ideology)の装置になっているのだ。

 すぐれているところがあるけど、ざんねんなところがあるのが明らかになったのが赤旗だ。そのざんねんなところとは、共産党の党にたいしては、党の思想の傾向の装置になっている点だ。

 軍備の拡張をすすめていっているのが日本だ。軍事の力(hard power)は、国の公の装置だ。抑圧の装置だ。警察や軍隊などがそれに当てはまる。

 具体の暴力なのが、国の公の装置や、抑圧の装置だ。それとはちがって、国の思想の傾向の装置もまたあって、それについては、共産党赤旗は、はんぶんはすぐれているけど、はんぶんは駄目だ。

 保守の報道の機関では、放送では NHK をあげられる。NHK は思いっきり国の思想の傾向の装置と化している。きびしく見ればそう見られるのがあり、報道としてはごりんじゅうしてしまっているのが NHK だ。

 放送は、とりわけ政治の権力に介入されやすい。放送法があるけど、その解釈を改悪しようとしていたのが自由民主党だ。放送にものすごい圧力を自民党はかけていた。放送の法の決まりである放送法は、言論法になってしまい、自由な言論ができなくなる。

 きびしく見てみると、しんぶんの赤旗は、はんぶんはとても良いけど、はんぶんはごりんじゅうしてしまっている。はんぶんはごりんじゅうしてしまっているのは、共産党の党と一体化してしまっているからである。党を対象化できていない。

 報道としては、きびしく見ればごりんじゅうしてしまっているのが NHK であり、日本の国が言っていることを、そのまま報道でたれ流してしまっている。雨だれ式の報道である。国の発言(message)を、そのまま見解(view)としてたれ流している。発言(M)と見解(V)を合わせないようにしてずらす努力をしていない。

 国が言っている発言(M)と、それを報じる主体の見解(V)とが合ってしまっていると、国の発言があたかも最終の結論であるかのようになってしまう。国が言っていることは、最終の結論ではなくて、あくまでも仮説にすぎない。仮説にすぎないのをはっきりさせるためには、国の発言(M)と、報じる主体の見解(V)を合わせないでずらすことがいる。国が言っていることをうたがう。うたがう形で報じる。上が言っていることをそのまま丸ごとうのみにはしない。

 共産党赤旗は、党が言っている発言(M)を、そのまま雨だれ式で報じているのがあり、党の発言(M)と報じる主体の見解(V)が合ってしまっている。それだと、党が言っていることが、あたかも最終の結論であるかのようになってしまう。党が言っていることは、仮説にすぎないから、それをはっきりとさせるためには、党の発言(M)と、報じる主体の見解(V)を、合わせないでずらすことが必要だ。

 はんぶんはよいところがあるのがしんぶんの赤旗であり、そのはんぶんの所はとてもすぐれている。日本の国にたいしては、かなりの自律性をもてているから、そこは優秀だ。

 共産党の党にたいしてはどうかといえば、そこはだめなところがあって、党にたいしては自律性をもてていなくて他律性によっている。党が超越の他者(hetero)と化していて、その超越の他者に動かされてしまう。

 ものごとを対象化できず、一体化してしまう。距離をとって対象化できず、ゆ着による一体化がおきる。複合体(system)が形づくられることが多いのが日本だけど、これは西洋のような個人主義の絶対の主体(absolute subject)ではなくて、関係の主体(referential subject)によるためだ。

 関係の主体によって複合体や体系(system)が形づくられると、ゆ着し合ってしまうから、それを切りはなす。ゆ着し合わないようにしたほうが、それぞれがちがうものどうしであるようにしやすい。ゆ着し合ってしまうと、それぞれがもつ固有性が失われてしまいかねない。

 参照文献 『現代思想を読む事典』今村仁司編 『すっきりわかる! 超訳「哲学用語」事典』小川仁志(ひとし) 『法律より怖い「会社の掟」 不祥事が続く五つの理由』稲垣重雄 『疑う力 ビジネスに生かす「IMV 分析」』西成活裕(にしなりかつひろ) 『考える技術』大前研一 『九九.九%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』竹内薫(かおる) 『ご臨終メディア 質問しないマスコミと一人で考えない日本人』森達也 森巣博(もりすひろし) 『うたがいの神様』千原ジュニア