消費税と、悩みのいろいろ―統治をよくして行くことがいる

 消費税を下げたりなくしたりすれば、みんなが幸せになれるのだろうか。

 いまの日本は、人々の生が多様化している。そこから、悩みがおきていて、いろいろな悩み方で悩んでいる。

 いろいろな悩みを人々がそれぞれに抱えているのがあるから、それらをいっきょに片づけることはできづらい。いっきょに何とかすることはできづらい。

 消費税の有り無しや、その税率が高いか低いかによらず、人々の生が画一化してしまっているのを改めて行けば、人々の悩みは少しは減りそうだ。多様性(diversity)によるようにして行くことで、幸せになりやすくなる。

 近代の時代においては、どうしても悩みがおきてしまうのがあって、それを根本からは何とかしづらい。何が幸せをもたらすのかがよくわからない。幸せになるのに、どういうふうにしたら良いのかが定かではないのがある。

 たとえ幸せなのだとしても、なんでそうなのかの理由がよくわからないし、不幸であるさいにも、なんで不幸なのかの理由がよくわからない。うまく説明づけることができなくなっている。ぐう然性が大きくなっている。

 すごいお金持ちの、大富豪であっても、不幸な人は少なくない。むしろ、お金もちのほうが不幸なことが多いとされるのがある。お金持ちで、不幸であるままで死んでしまう人も少なからずいる。

 すごい少ないお金しかもっていなくても、それだからかえって良いこともある。一〇〇万円を持っていて、一〇〇円の即席めんを買って食べても、たいしてありがたみはない。一〇〇〇円しか持っていなくて、それで一〇〇円の即席めんを買って食べたら、すごいきちょうなふうになり、ありがたみがすごくある。一〇〇〇円のうちの一〇〇円だったら、その一〇〇円はすごい値うちをもつ。

 なにが幸せをもたらすのかは、いろいろな説(理論)があるけど、それらを知ったところで、じっさいに幸せになれるとは限らない。

 上位(meta)の次元の語であるのが幸せであり、ばく然としたものだ。上位の次元の語とは、何々として見よ、といったものであり、なにかの作品の題名などがそれに当たる。幸せが上位の次元の語だとされるのは、『「自分」と「他人」をどうみるか』滝浦静雄による。

 こういうあり方が幸せであると言えるのであるよりも、なにか行動をしているさいちゅうが幸せなのだとされるのがある。静態のものではなくて、動態のものである。何か自分が好きなこと(行動)をやっていて、それに打ちこんでいるさいちゅうが、幸せなのである。作家の原田宗典氏はそう言っていた。

 消費税を払うのはいやなことだけど、それは利他のむずかしさを示している。利他のむずかしさは、集団の統治(governance)のむずかしさでもある。

 もしもみんなが利他であるとしたら、消費税を払うことをいとわないだろう。よろこんで消費税を払う。自分がもっているお金を、すすんで国にさし出す。

 みんなが利己によっているのかといえば、そうとは言い切れず、利他の日本人も少なからずいるだろう。消費税をはらうのは、しかたがないことだとして、受け入れている人もそれなりにいるだろう。そういった人たちは、その点においては、利他によっていることになる。消費税に関して見てみると、それを払うのをかならずしもいやがらないような利他の人もそれなりにはいそうだ。

 消費税を払うのをいやがる人は、利己であって、まちがっているのだとは、必ずしも言えそうにない。それはそれで一理あるのはたしかだ。消費税を払うのをいやがるのにも一理あって、それがいやなのは、日本の国の統治がおかしくなっているのがあるからだろう。

 統治がだめになっていておかしくなっているのが日本にはあって、政治への不信が深刻化している。そこを改めることがないと、消費税をはらうことを受け入れてもらいづらい。利他になって、消費税を払ってもらいづらい。

 すこしでもみんなが生きて行きやすくするためには、日本の国の統治がだめなのをよくしていって、多様性によるようにして行く。そうすれば、利他になりやすくなるのが見こめるから、消費税を払わなければならない苦痛がすこしは減るかもしれない。利他の利己主義(ことわざでいう、情けは人のためならずのようなもの)になりやすくなる。

 参照文献 『悩む力』姜尚中(かんさんじゅん) 『悩める日本人 「人生案内」に見る現代社会の姿』山田昌弘 『幸福とは何か 思考実験で学ぶ倫理学入門』森村進 『徹底図解 社会心理学 歴史に残る心理学実験から現代の学際的研究まで』山岸俊男監修 『こうして組織は腐敗する 日本一やさしいガバナンス入門書』中島隆信 『事例でみる 生活困窮者』一般社団法人社会的包摂サポートセンター編 『タイトルの魔力 作品・人名・商品のなまえ学』佐々木健一 『福祉+α 六 幸福』橘木俊詔(たちばなきとしあき)編著 橘木俊詔、宮本太郎監修