消費税だけが悪いものなのか―ほかにも悪いところはないのかどうかと、悪さのとり落とし

 消費税は、悪いものだから、それをなくすべきなのだろうか。税率を下げるべきなのだろうか。

 構築主義(constructionism)によって、消費税のことを見てみたい。

 構築主義で見てみると、二つのことをとり上げられる。一つには、消費税が構築されたものであることと、もう一つは、いまの社会のあり方が構築されたものであることだ。

 人為や人工で構築されたものなのが消費税だから、可変性をもつ。変えようとすれば変えられるものであり、固定化して自然化や本質化するのはふさわしくない。自明性があるとはいえないのがある。

 いまの日本の社会のあり方も、人為や人工で構築されたものだから、可変性をもつ。変えようとすれば変えられるものだろう。いまのあり方を、固定化して自然化や本質化するのは適していない。自明性があるとはいえないものだ。

 消費税を悪いものだと見なしてしまうと、いまの日本の社会のあり方を、自明なものと見なしがちになる。いまの日本の社会のあり方を、自然化や本質化してしまいがちだ。

 何を脱自然化するべきなのかといえば、消費税であるよりも、いまの日本の社会のあり方をそうすることがいる。そう見なしてみたい。

 どちらかといえば、消費税よりも、いまの日本の社会のあり方を脱自然化して、それを自明なものとはしないようにしてみたい。

 社会のあり方を脱自然化するようにしてみると、社会の中に色々と悪いところがあるのが見えてくるものだろう。よいか悪いかでは、自然の資源をむだに使いすぎているのや、持続性がないあり方になっているのがある。地球の自然の環境をこわしまくっている。まずしい地域から搾取して、日本の物の豊かさがなりたっている。

 よいか悪いかだけで見てしまうと、道徳論になってしまうのがあるけど、それを置いておくとすると、いまの日本のあり方には自明性がまちがいなくあるとは言い切れそうにない。世界は複雑系(complex system)でなりたっているのがあり、たまたま幸運に恵まれていることから、日本の商品の流通などがなりたっていて、お店で色々な物を買うことができている。

 幸せは、しあわせるとされるのがあるけど、たまたましあわせていることによって、日本のいまのあり方があって、商品の流通などがなりたっている。世界で、ほかの国があることのおかげで、日本のあり方がなりたっているから、ほかの国のおかげさまなのがあるものだろう。

 商品の流通などの、いまの日本のあり方は、そんなに確かな固い根拠によっているものではなくて、そこにはぜい弱性(vulnerability)がありそうだ。たとえどんなことがあっても、どんなことが起きたとしても、なにがどうなったとしても、安定して商品が流通して、お店で色々な物が買えるのだとはいえそうにない。そこには不安定性がかなりあるものだろう。

 消費税を悪いものだと見なして、それを無くしたり税率を引き下げたりすることは、やろうと思えばできることではあるだろうけど、そのいっぽうで、日本のいまの社会のあり方が、そこまで安定したものではないのをとり落とさないようにしたい。いまのあり方には、不安定性があって、ぐらぐらしているところがあり、これから先にもずっといまのあり方をつづけて行くことができる絶対の保証はない。

 いまの日本のあり方を、これから先にもずっとつづけて行くべきなのかどうかがあって、これは価値にまつわることだ。いまのあり方は、何々である(is)の事実だが、そこから自動で何々であるべき(ought)の価値をみちびくことはできづらい。

 価値としては、人それぞれに色々な見なし方ができるから、自由に見て行けるものだけど、その中の一つの見なし方としては、倫理性(ethical)をあげられる。倫理性のある消費を日本はやっているのかといえば、それができていないのがあり、地球の自然の環境をこわしまくってきている。資源をむだに使ってしまっている。持続性がないあり方なのがあるから、倫理性がある消費のあり方などに改めて行くことがいる。

 いまの日本の社会のあり方が、まちがいなく悪いとは言い切れないのもあり、客観や本質として悪いあり方になっているとまでは言えそうにない。消費や生活のあり方が、どこからどう見ても客観や本質として悪いとまでは言えないのがあるだろうけど、それと同じように、消費税もまた、それが客観や本質として悪いとはできないのがある。

 消費税についてだけではなくて、日本の社会のあり方についても、関心をもつことができて、どちらにも悪さを見いだすことができるけど、それは主観にとどまるものだろう。

 人それぞれで、何に関心を向けるのかがちがう。それぞれの人がもつ枠組み(framework)がちがっているから、枠組みによっては消費税に強く関心をもつ人がいるし、ちがう枠組みからすればちがうことに強い関心をもつ人もいる。

 どこにどういうふうに関心をもつのかは、人それぞれでちがっているから、(人それぞれの)関心の持ち方によっては、消費税が悪いと見なすことになるし、日本の社会のあり方が(自然の環境をこわしているなどの点で)悪いと見なすこともなりたつ。

 参照文献 『構築主義とは何か』上野千鶴子編 『本当にわかる論理学』三浦俊彦 『「複雑系」とは何か』吉永良正 『ブリッジマンの技術』鎌田浩毅(ひろき) 『「定常経済」は可能だ!(岩波ブックレット)』ハーマン・デイリー 枝廣(えだひろ)淳子(聞き手) 『北野大ビートたけしの新環境文化論 もったいないね このバチ当たりめ!』北野大(まさる) ビートたけし