ロシアの戦争と、国の統治のあり方―統治の悪さのていど

 ロシアが戦争を引きおこしたのを、統治(governance)の点から見てみられるとするとどういったことが言えるだろうか。

 統治の点から見てみられるとすると、ロシアの国は統治のあり方がひどく悪い。独裁主義におちいっている。

 たしかめておきたい点としては、一つには、国の統治のよし悪しでは、どの国の統治もたいていは悪い点だ。統治の悪さのていどのちがいでしかない。ロシアは統治のあり方のていどがひどく悪かったので、戦争を引きおこすことになった。

 さらに確かめておきたい点としては、国の統治のあり方がそれなりに良いものであれば戦争を防ぎやすい点だ。どちらの国も、それぞれが統治のあり方が良いものであれば、戦争はおきづらいものだろう。

 国の安全を高めるために、いたずらに軍事の力を高めて行くのではなくて、自国の統治のあり方の悪さやまずさを見て行くことがいる。そう見なしてみたい。軍事の力を高めることよりも、自国の統治のあり方の悪さを見ていって、それを改めて行くことがいる。

 見落としてはならない点としては、どの国も統治のあり方は悪いのがあるから、その悪さから出発するようにしたい。悪さがあるのは、問題があることだから、国の統治の問題を見つけて行き、それを改めて行く。

 いま戦争をやっているロシアのことはひとまず置いておいて、日本の国を見てみると、国の統治ががたがたにこわれていて崩れている。統治がなりたっていない。きびしく言えばそう言える。行政としての政治である統治のところがぼろぼろにこわれているのがいまの日本だろう。

 いまは世界主義(globalization)がおきているから、国の統治がしづらい。国の政治で、よい政策をなしづらい。その中で国家主義(nationalism)が強まっているのがあり、そのことが国の統治をなおさら悪いものにしていっている。

 国の政治で、一強になっていたり一元の支配になっていたりするのは、統治のあり方が悪い。そこを見直すようにして、多元の支配(polyarchy)になるようにしたい。もととなる要素がいくつもある多元の支配であれば、統治のあり方が少しは改まる。

 これこそがまさに良い政策なのだといったような特効薬のようなことをやりづらいのがいまの国の政治のおかれている状況だろう。よい政策をなしづらい中で、統治のあり方が悪ければ、ますます国がおかしな政策をなすことになって行く。

 かなりきつい上からの支配になっているのが、いま戦争をやっているロシアや、日本だろう。ロシアの国の中では、ウラジーミル・プーチン大統領が権力をにぎっているので、闘争の政治(politics)が行なわれていない。日本でも、与党である自由民主党が力を持ちすぎていて闘争の政治が行なわれていない。

 闘争の政治が欠けていることによって、国の統治のあり方が悪くなって行く。闘争が欠けていることがわざわいしているのがあるので、政治の闘争をうながして行き、それが活発化することが民主主義においてはいる。闘争があまりにもなさすぎるのは、民主主義にとっては良くないことであり、統治のあり方が悪くなるのをまねく。上が絶対の力をもつ権威主義になってしまう。

 日本の国を見てみると、行政も闘争もどちらもだめになっている。闘争の政治を活発化させることによって、行政の政治を改めて行くことがいる。それだけではなくて、国の統治の悪さを見つけて行き、それを改めて行くようにして、軍事の力によるのではない形で平和になるようにして行く。

 権力の監視がしっかりとできていないのが日本だから、国の統治の悪さが見逃されてしまっている。監視が甘いことから、統治ががたがたにこわれていて崩れていることがきちんととり上げられていない。甘くするのではなくて、きびしく権力を監視するようにして、いま戦争をやっているロシアのような一強や一元の支配になっているのを少しでも改めるようにしたい。

 参照文献 『政治家を疑え』高瀬淳一 『グローバリゼーションとは何か 液状化する世界を読み解く』伊豫谷登士翁(いよたにとしお) 『こうして組織は腐敗する 日本一やさしいガバナンス入門書』中島隆信 『二極化どうする日本』柴栗定夢(しばぐりさだむ)