政治家が言う、やるべきことと、やりたいことと、現実にやれることと、やれないこと

 前に言っていたことをひるがえす。与党である自由民主党の総裁選が行なわれていたさいに言っていたことが、いくつもひるがえされている。

 自民党岸田文雄首相は、総裁選の中で言っていたことをいくつも撤回しているが、それについてをどのように見なすことができるだろうか。

 IMV 分析によって見てみられるとすると、たとえ政治家が言っていることであったとしても、それがほんとうに心の底から言っているのではないことが少なくはない。たいしてやる気がないのにも関わらずいちおう言っておくといったことがある。じっさいに口にする伝達情報(message)と心の中の意図(intention)とがずれているのだ。

 これをやるとかあれをやるといったことを政治家が口にするのは、政策についての発言だ。どういう政策をなすのかを岸田首相は総裁選の中で言ったが、それがあとになっていくつもひるがえされた。このことが意味することとしては、たとえ政治家が何かを口にしたとしても、それについてを IMV 分析によって見るようにすることがいることだろう。じっさいに政治家が口にした伝達情報である M と心の中の意図である I とがずれていることが少なくない。M と I が合っていなくてずれているとする見解(view)を持てる。

 現実の政治にはさまざまな制約がつきまとう。政治家が口にすることは、現実の制約を抜きにした形で言うことがある。現実の制約を抜きにした形で言ったほうが、人々への受けがよい。言ったことをいざやろうとしたら、現実の制約をくみ入れざるをえなくなるから、話がまたちがってくる。

 きちんと現実の制約をくみ入れないで政策についてを語ったのが岸田首相だが、それは岸田首相にかぎったことではなくて、広く政治家の一般に当てはまるものだろう。政治家が政策についてを語るさいには、それを十分に警戒するべきだ。現実の制約がかかったさいにほんとうにその政策ができるのかはうたがわしいことが少なくはない。それまでに言っていたこととはまた話がちがってきてしまうことはおきがちだ。

 岸田首相のことは政治家の一般に当てはまることであり、一般化することがなりたつ。ほかの与党の政治家や野党の政治家であったとしても、岸田首相と同じようなことがおきることになる。それまでに言っていたことが、あとになってひるがえされる。現実の制約をくみ入れてみると、じっさいには言っていたこととはちがうことになることがわかることになる。

 政治家が語る政策は、あやしいものが少なくはなく、そのまま丸ごとうのみにはできづらい。うそがはびこりやすい。それは与党の政治家であったとしても野党の政治家であったとしても同じことである。複雑系(complex system)によっている社会のあり方をそうとうに単純化した形で語ることになることが多いのが政策だ。複雑系における現実の制約がいろいろにあることを切り捨てて捨象してしまっているのがあるので、それをとり落とさないようにして、ものごとを単純化しすぎないようにすることがいる。

 参照文献 『政治家を疑え』高瀬淳一 『疑う力 ビジネスに生かす「IMV 分析」』西成活裕(にしなりかつひろ) 『「複雑系」とは何か』吉永良正 『思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント』飯田泰之(いいだやすゆき)