ウイルスの感染の広がりと米中の対立と敵対―国際協調主義(自由主義)で敵をつくらずにやって行きたいものである

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は、ウイルスに関して中国のことを批判している。中国の武漢の研究所から新型コロナウイルスがおきてきたのだという。ウイルスによって中国からアメリカは攻撃を受けていると言っていた。

 ウイルスへの感染に対応して行くさいに大事なこととしては、いたずらに国どうしが敵対し合うのではなく、国際協調主義でやって行くことだろう。

 ふつうのときの外交での国どうしの関わり合いでは、お互いの国のことを尊重し合うあり方によっている。対等に友好に交わって行く。建て前や理念としてはいちおうそうなっている。そのあり方をいざというさいに放り出してしまうのではなく、ウイルスへの感染に対応しないとならない大変なときだからこそ、むしろお互いの国のことを尊重し合うようなふつうのときの外交のあり方をとりつづけて行きたい。

 アメリカのトランプ大統領の言っていることからうかがえるのは、政治の権力との距離感を保つことがいることだ。その距離感が失われてしまうと、政治の権力の言うことにそのまま振り回されてしまう。

 政治の権力との距離感を失わないようにして、政治の権力が言っていることをそのままうのみにはしないようにできたらよい。はたしてアメリカのトランプ大統領の言っていることが、大きくうなずくことができるだけの事実にもとづいているものなのかどうかがある。その点についての信ぴょう性や説得性がどうかがあるから、そこをできるだけ慎重に見きわめて行きたい。

 アメリカのトランプ大統領の言うことを受けて、中国では、われわれはイラク(の二の舞)にはならない、ということが言われているようだ。アメリカはあやふやな根拠をもとにして、大量破壊兵器があるにちがいないということで戦争をしかけたが、じっさいにそれは見つからなかったのがあった。アメリカの行動は国際法に違反しているという声が言われた。

 他国からの物理の攻撃を受けていることの客観の証拠があるのでないと、早まってあやふやな根拠にもとづいて戦争をすることになりかねない。アメリカはじっさいにそれをした過去があるから、それがおきないとは限らないのがある。どこの国であってもそうしたことがおきることがあるから、政治の権力が言っていることの信ぴょう性や説得性がほんとうにあるのかどうかが十分に見きわめられることがいる。

 ほんとうの確かな客観の証拠があるのならみんながうなずけるものだが、そうではないのなら意見が分かれることになる。意見が分かれているのなら万人がうなずけるものとはなっていないものであり、ほんとうに確かな客観の証拠がある事実だとは言えそうにない。

 たしかな客観の事実とまでは言えないものなら、憶測や意見にとどまることになる。はっきりとこうだとは断言することはできず、そうだろうというのにとどまる。憶測や意見であるのなら実証されずに反証(否定)される見こみは低くない。断言はできないものについてを、まちがいなく実証できるものだとすると、独断と偏見におちいりかねない。あとになってまちがいがわかることがあるから、無びゅうなのではなく可びゅうのものであることをくみ入れておきたい。

 参照文献 『反証主義』小河原(こがわら)誠 『楽々政治学のススメ 小難しいばかりが政治学じゃない!』西川伸一 『増補版 大人のための国語ゼミ』野矢(のや)茂樹