新しい天皇陛下が即位するもよおしと、そのときの天気

 新しい天皇陛下が即位するもよおしが行なわれた。もよおしが行われた日は雨が降っていた。この雨は、三種の神器の一つである天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)によって降ったものだということがウェブでは言われていた。

 とちゅうで雨がやんでほんの少しだけ晴れ間が出たのは、天照大御神(あまてらすおおみかみ)の力によったものだという。

  雨が降ったりほんの少しだけ晴れたりしたことは、三種の神器の一つである天叢雲剣や、天照大御神の力によってそうなったのだろうか。人知を超えた天皇家にまつわる力が働いたことによるのだろうか。

 かなり愚問ではあるかもしれないが、科学から見れば、疑うことができるものである。

 天気がどうなるかという予測は、科学技術によって行なうことができるので、それによって説明することができる。そこに三種の神器の一つである天叢雲剣天照大御神の力が働いたのだとは考えづらい。

 因果関係というのは、二つのものの結びつきによっているので、その二項についてを改めて見てみると、必ずしも結びつかないことがある。関係がないものを結びつけてしまうことがある。その点には気をつけないとならない。

 三種の神器が用いられたことや、天照大神と、その日の天気がどうなったかというのは、それぞれが別々のことがらであって、それらを結びつける必然性はとくにない(つまり偶然である)、という見かたがなりたつ。どういう見かたをするかや、どういうふうに意味を読みとるのかは、人によって色々あってよいのはたしかだが。

 参照文献 『科学との正しい付き合い方 疑うことからはじめよう』内田麻理香 『大人のための学習マンガ それゆけ! 論理さん』仲島ひとみ 野矢茂樹(のやしげき)監修