関西電力は、巨額の金品のやり取りの不祥事が報じられている。この不祥事について、これは部落の同和の問題が本質なのだ、ということがツイッターのツイートで言われていた。
関西電力の不祥事は同和の問題が本質なのだとするツイッターのツイートによる見解は、ふさわしいものなのだろうか。
いっけんすると、関西電力の不祥事を同和の問題だと見なすのは、わかりやすいものではあるが、だからこそそれをかっこに入れることがあったほうがよい。そんなにわかりやすく割り切れるかは定かではないのがある。もっと複雑になっているのだとすれば、その複雑さを見なければならないし、複雑なものは単純に割り切れるものではない。
気をつけないとならないのは、本質となるものと枝葉末節とを取りちがえてしまうことだ。弁護士で元政治家の橋下徹氏は、周辺の問題と核心の問題とを分けて見ることがいると言っている。
関西電力の不祥事を見るさいには、それについて、同和の問題が本質となっているのだとすぐに決めつけないようにしたい。関西電力による不祥事を一つの現象として、その原因となるものを探って行く。そのさい、すぐに原因となるものをとってしまうと、誤った因果関係による議論におちいるおそれがある。
誤った因果関係による議論を避けるには、すぐに原因となるものを決めてしまわずに、まずは色々な要因をあげて行くことがいる。すぐに原因となるものを決めてしまうのは単一によるが、そうするのではなくて、色々な要因をあげて行くことによって複数化する。それで体系として見て行く。そうするようにすれば、部分だけを見て全体を見落とす(木を見て森を見ず)になるのを避けやすい。
関西電力による不祥事を見るさいに、誤った因果関係による議論によってしまうと、誤った対策をとることになってしまう。そうはならないようにするためには、民間のトヨタ自動車で行なわれているような、なぜという問いかけを何回もくり返してみて行く手がとれる。そうすることによって、浅い見かたになるのを防ぐ。
浅い見かたにはならないようにして、掘り下げるようにすることで、問題の所在は何かを見て行く。そこからどういう対策をとるのがのぞましいのかが見えてくる。浅いところしか見えていなかったり、周辺の問題と核心の問題を取りちがえていたりすれば、どういう対策をとるのがのぞましいかということもまたおかしくなってしまう。
まずいことがおきたさいに、それを隠そうとする心理が働く。大したことではないというふうに見せる心理がおきる。失敗情報は隠れやすい。失敗学ではそう言われている。失敗がおきたさいには、そうしたことがおきがちなので、そうならないようにして、一つの失敗というのを現象として見て、表面の現象にたいして手を打つのではなくて、現象の原因を見るようにして、原因にたいして手を打つ。それができれば理想的である。
参照文献 『考える技術』大前研一 『図解雑学 失敗学』畑村洋太郎 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『橋下徹の問題解決の授業 大炎上知事編』橋下徹 『できる大人はこう考える』高瀬淳一 『議論入門 負けないための五つの技術』香西秀信