中国のウイグルのことと、やれることとやりたいこととやるべきこと

 中国のウイグルの人たちに人権の侵害が行なわれている。せん滅(genocide)が行なわれているとする声も言われているが、それがほんとうに行なわれているのだと言えるのだろうか。

 ウイグルの人たちをせん滅しようとする排除の暴力がふるわれている。その声が言われているが、客観の証拠(evidence)がないかぎりは、それがほんとうのことなのかどうかは定まっているとは言えそうにない。

 ウイグルの人たちをせん滅しようとすることが行なわれているのかどうかは、それが事実なのかどうかの信ぴょう性や信頼性が問われてくる。せん滅をすることはそうとうにひどいことだから、そこまではいっていないのだとすると、その手前のものである、差別を受けたり部分的な暴力の行為を振るわれたりといったことはあるかもしれない。

 人権の侵害がウイグルの人たちにたいして行なわれているのがあるとして、そのさいに、ウイグルの人たちは主体(当事者)だ。主体ではないそれ以外の人がそのほかにいる。主(main)と従(sub)のちがいだ。それらに分けられるのがあるとして、主体であるウイグルの人たちと、それ以外の人とで、それぞれにおいて、やれることとやりたいこととやるべきことがあるだろう。やれることとやりたいこととやるべきことの三つは、予備校講師の林修氏が言っていたことである。

 主体であるウイグルの人たちがもつ人権があり、その中の自己決定権や幸福追求権がさまたげられている。それがあるのだとすると、主体であるウイグルの人たちがやりたいことができなくなっている。自己決定権や幸福追求権をふくむ人権が回復されるようにして、ウイグルの人がやりたいことができるだけできるようにして行く。

 どちらかといえば主役に当たるのが、主体であるウイグルの人たちなのだから、ウイグルの人たちの人権が侵害されていることが改められて回復されることがいる。それがまずいることであり、主体ではないそれ以外の人たちはわき役に当たることになる。

 主役ではないそれ以外の人はわき役に当たるのがあり、わき役としてやれることとやりたいこととやるべきことがある。その三つがあるにしても、一つのわき役の役回りに絶対に固定化されるのだとは言えそうにない。

 たった一つのことだけではなくていろいろなものと関係し合うのがあるから、いろいろなものにたいしてのわき役に当たるのがあり、いろいろなことにたいしてやれることとやりたいこととやるべきことがある。色々な役回りがもてるのがあるから、その中のひとつの役回りだけをもってして、よいとか悪いとかを総合することはできづらい。

 さまざまなことにたいしてわき役になることができるし、ときには主役である主体になることができる。その中の一面だけをとり上げて、よいとか悪いとかと言ってしまうと、一斑(いっぱん)を見て全豹(ぜんぴょう)を卜(ぼく)するといったことになってしまう。

 いちばん肝心なことは、主役であるウイグルの人たちの人権が侵害されているのが改められて回復されることだろう。前景化されるべきなのは主役であるウイグルの人たちだから、主役ではないそれ以外の人たちが前景化されなくてもよいものだろう。後景化されるのでもよい。

 主役ではないわき役の人たちがもしも前景化されることがいるのだとすれば、それはひとつには自由主義(liberalism)において他者危害の原則に反したときがそれに当てはまる。その原則に反していないのであれば、それぞれのわき役の人がそれぞれに自己決定の権利を行使すればよいものだろう。

 わき役の役回りに当たるのであれば、前景化されずに後景化されるのでもよいから、焦点が当てられて前景化されるようになることがいるのは、主体であるウイグルの人たちである。主体が大切なのだから、主体ではないそれ以外のわき役はさして重要とはいえないところがあり、それぞれの人がもつ自己決定の権利に任されるのでもよい。

 自由主義においては他者危害の原理に反しないようにするのは守るべき最小の具体の義務に当たる。原理に反しないようにして、最小の具体の義務を守るのを満たしているのであれば、あとのことはそれぞれの人の自由に任されていて、たとえやるべきことなのだと言えるのだとしてもそれはあくまでも努力義務といったことになるだろう。努力できないよりは努力できたほうがどちらかといえばよいといったことになる。超人ではないから、だれしもが努力の不完全さはまぬがれない。自由主義の文脈からするとそう言うことが言えそうだ。

 参照文献 『ぼくたちの倫理学教室』E・トゥーゲンハット A・M・ビクーニャ C・ロペス 鈴木崇夫(たかお)訳 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『十三歳からのテロ問題―リアルな「正義論」の話』加藤朗(あきら) 『増補版 大人のための国語ゼミ』野矢(のや)茂樹 『打たれ強くなるための読書術』東郷雄二 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ)