与党である自由民主党の幹部の会議のあり方に欠けている改善や反省や自律性(autonomy)

 政党の幹部たちによる会議を開く。その中に党に属している女性の国会議員にあたらしく参加してもらう。参加してもらう女性の国会議員には、会議がどういったものなのかをわかってもらう。特別に参加する形なので、女性の国会議員には発言の権利は与えられない。与党である自由民主党の幹事長はそうした案を言っていた。

 自民党の幹事長が言っている案は、会議や議論のあり方としてふさわしいものなのだろうか。あたかも上からのお恵みのような形で、女性の国会議員にあたらしく参加をゆるしながら、会議の中で発言をする権利は与えないのは、のぞましいあり方だと言えるのだろうか。

 そもそもの話としては、わざわざ男性と女性を区別した形で、その中で女性の国会議員にあたらしく参加をしてもらうことを行おうとすることは、もともとの会議のあり方がおかしいことをあらわしているものだろう。もともとが男性と女性とが分けへだてがなくなっていて、平等なあり方になっているのが理想論としてはのぞましい。その理想論のあり方から大きく隔たっているのが現実論としてあるのだとすると、そこに会議のあり方のまずさを見なければならないだろう。

 もともとの会議のあり方にまずさがあるのであれば、それは理想論と現実論とのあいだに大きな隔たりが開いているのをあらわす。そのあいだにある大きな開きを少しでも小さくして行くことがのぞまれる。その大きな開きをそのまま温存させてしまうことになるのが、自民党の幹事長が言っている案だろう。おかしいあり方に順応させようとしている。

 自民党の幹事長が言っている案とはちがい、こういう案はどうだろうか。会議のあり方に理想論と現実論とのあいだで大きな隔たりが開いてしまっているのをくみ入れるようにして、それを少しでも小さくして行く。それを少しでも小さくして行くためには、あり方のおかしさをすすんで見つけて行かなければならない。

 民間の自動車会社のトヨタ自動車で行なわれているように、改善を行なって行く。もしもいっけんすると問題が見つからないようであれば、それが見つかるまでしぶとく探して行く。当たり前のことだとはしないようにして、大中小のいろいろにある問題をねばり強く見つけるようにして行く。問題がなにも見つからないのがよいことなのではなくて、それがいくつも見つかることがよいことなのである。

 まったく何の問題もないのであれば、改善することはいらない。自民党の会議のあり方でそうしたことはまずありえないだろうから、理想論と現実論とのあいだに大きな開きがあるのにちがいない。そのあいだに大きな開きがあるのにもかかわらず、それがあたかも無いかのようによそおう。虚偽意識のはたらきである。

 虚偽意識によってものごとを進めてしまうと、自民党の悪いあり方が改善される見こみは立たない。いつまでも悪いあり方が引きつづく。虚偽意識によることでそうなってしまうのがあるから、悪いところを見えなくさせるためにかぶされているフタのおおい(cover)をとり外すことがいる。

 自民党の会議のあり方のまずさを見つけ出してくれる役割をになう人に会議に参加してもらう。内部においてそれが当たり前のことだとなっていると、そのあり方に埋没してしまう。そこから脱するためには、どこにまずいところがあるのかを見つけ出してくれる役割をになう外部の人に参加してもらう。

 政党の中で中心化されているのが自民党の幹部だから、その幹部を脱中心化して行く。日ごろは中心化されている幹部を脱中心化するようにして、日ごろにおいてたまりつづけている汚れやうみを吐き出すことを試みる。中心化されている幹部がいままでにためつづけた汚れやうみを外に吐き出す。そのためには日ごろにおいて排除されていてわきに追いやられている人を中心化して活躍してもらう。

 いろいろな汚れやうみがたまりつづけていて、その量がぼう大なものになっているのがいまの自民党だろう。もはや自分たちで自分たちをきれいにする自浄の作用を失ってひさしい。その自浄の作用がとっくに失われていることをあらわすのが、自民党の幹事長が打ち出した案には見うけられる。

 もしも自民党が自分たちで自浄の作用をほんの少しであったとしても持っているのであれば、日ごろにおいて党の中で中心化されている幹部を脱中心化するようなことを行なうはずだ。その逆に幹部がいつまでも中心化されるようにして中心に居すわりつづけようとしているように映る。これでは自民党の中にあるぼう大な量にのぼる汚れやうみを外に吐き出す見こみが立ちづらい。いつまでも汚れやうみを内部に抱えつづけることになる。虚偽意識が改まる見こみが立つことをのぞめない。見えなくさせて隠すためにかぶされているフタのおおいを引っぺがして悪いところを見つけ出す役をになう人が活躍することがのぞまれる。

 参照文献 『トヨタ式「スピード問題解決」』若松義人 『情報生産者になる』上野千鶴子寺山修司の世界』風馬の会編 『理性と権力 生産主義的理性批判の試み』今村仁司 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『現代思想キイ・ワード辞典』鷲田小彌太(わしだこやた)編