アメリカの大統領選挙で不正があったかどうかについてを IMV 分析などによって見てみたい

 アメリカのドナルド・トランプ大統領は、いまだに大統領選挙でジョー・バイデン氏が勝ったことを受け入れていない。トランプ大統領が負けたことを受け入れていない。それで大統領の地位であることにねばりつづけているようである。

 トランプ大統領が言いつづけているように、ほんとうに大統領選挙で不正があったのだろうか。その真相については正確にはわからないが、そのことについてを学者の西成活裕(にしなりかつひろ)氏の IMV 分析やカール・ポパー氏の世界三の理論や、論理学や修辞学でいわれるくん製にしんの虚偽(red herring)によって見てみたい。

 トランプ大統領が言いつづけているのは大統領選挙で不正があったとする発言だ。その発言(message)はトランプ大統領の内なる意図(intention)をそのままあらわしているものなのだろうか。そうではなくてトランプ大統領の内なる意図は、外に表している発言とはまた別なところにある。そういった見解(view)をとることがなりたつ。

 トランプ大統領は国の政治家であり、政治家は国民の表象(representation)だ。政治家は国民を代表しているものだと見なすことによって政治家はなりたつ。国民とじかに一体となっているものではない。置き換えられている。表象であることから国民とのあいだにずれがある。そこから表象であるトランプ大統領は国民にたいして嘘をつく。ほんとうのことを言わない。そういったことがおきてくる。

 カール・ポパー氏の世界三の理論では、世界一は物で、世界二は心の中の意図で、世界三は言語などであるという。これを当てはめてみると、トランプ大統領の心の中である世界二においてはいろいろな思わくがうず巻いていて、それはもっぱら自分の利益に関わることが主となっている。アメリカの国や国民のことを第一にしているのではない。それはあと回しだ。そうではあるものの世界三であるおもて向きの発言においてはアメリカを第一にしているように見せかけていて、公正であるべき大統領選挙で不正がおきたのだと言っている。カタリだ。

 大統領選挙で不正があったのだとするのは論理学や修辞学でいわれるくん製にしんの虚偽であるおそれがある。それがもしもくん製にしんであるとすると、トランプ大統領は論点を外したりねつ造したり操作したりしていることになる。それらをするために大統領選挙で不正があったのだとあてずっぽうで言っている。

 もしもあてずっぽうで当たるも八卦当たらぬも八卦といったことでトランプ大統領が大統領選挙で不正があったのだと言っているのだとすると、それが当たることは可能性としてはゼロではないかもしれないが、当たったとしてもたまたま偶然のまぐれといったことにすぎないだろう。とくに客観の証拠(evidence)となるものを示してはいないからだ。

 完全に純粋できれいなのがトランプ大統領なのではなくて、政治家であることからいろいろな汚れや悪さを抱えこむ。それは多かれ少なかれどういった政治家であっても見うけられるものであり避けがたいことではある。それにしても汚れや悪さの抱えている量と質のていどがひどいのがあって、その自分の汚れや悪さをごまかすために、自分の外である大統領選挙で不正があったのだと言いつづけている。汚れや悪さがあるのは自分の内にではなくて外だ。外に意識を向けさせる。

 悪いことの原因の帰属(特定)を内に向けなければならないところを、それを隠ぺいするために外に向けている。ほんらいは内部帰属化するべきところを、外部帰属化している。外部帰属化することによっておおい(cover)をかけて、自分が抱えている政治家としての汚れや悪さを見えづらくさせる。おおいをとり払ってしまえば、政治家として抱えている汚れや悪さが表にあらわになる。だからおおいをかけつづけたい。遮へい物によって穴にフタをしつづけておきたい。想像の域を出るものではないが、そういったふうに見なすことが一つにはできるかもしれない。ほかのもっといろいろなちがう見解もなりたつから、それらから見てみることができるのはまちがいないが。

 参照文献 『疑う力 ビジネスに生かす「IMV 分析」』西成活裕 『神と国家と人間と』長尾龍一 『クリティカル進化(シンカー)論 「OL 進化論」で学ぶ思考の技法』道田泰司 宮元博章 『本当にわかる論理学』三浦俊彦現代思想を読む事典』今村仁司編 『実践ロジカル・シンキング入門 日本語論理トレーニング』野内良三(のうちりょうぞう) 『ポリティカル・サイエンス事始め』伊藤光利