アメリカの大統領が言うことと情報の汚染

 アメリカのドナルド・トランプ大統領が言ったことを、アメリカの軍部は否定していた。トランプ大統領の言ったことには証拠がないとしてアメリカの軍部はしりぞけていた。

 トランプ大統領は、アンティファという組織がテロをそそのかしているとしてテロ組織だとしたが、この組織を勝手にかたるなりすましなどがおきていて、ほんとうのところが見えづらくなっている。

 トランプ大統領の言ったことをアメリカの軍部が否定したことから、抑制と均衡がはたらいた形だ。抑制と均衡がはたらかず、軍部が大統領の言うことをそのままうのみにしてしまうと、多元性がはたらかなくなり、まちがった方向につっ走って行きやすい。

 かりにトランプ大統領の言うことを軍部がそのまま信用してしまうと、抑制と均衡がはたらかず、専制化に歯止めがかからなくなる。自由主義においては専制化に歯止めをかけるために権力が分立していることがいるのだとされる。一つの権力が突出した力をもつのだと専制化がうながされる。日本では三権が分立していずに一強の一権となっているところがあるから、専制化への歯止めがあまりかかっていない。

 ほんとうにアメリカの大統領が言っていることは当たっていることなのかを改めて見るようにしたい。改めて見るようにすることがあったほうがよいのは、大統領が言うことには情報の汚染が少なからずあるだろうからだ。大統領が言うことの中には作為性や意図性や政治性をふくむ。それで情報が汚染されることになる。

 たしかに実証することができるような客観の証拠(エビデンス)があるのならともかく、それを示すことができないのであれば、アメリカの大統領が言っていることは当たっていないことであるおそれがある。反証(否定)されることになる見こみがある。

 実証できるとはかぎらず反証することもできるのがあるから、きびしく見て行くるようにすることによってまちがいを見つけて行きやすい。甘く見てしまうと、アメリカの大統領のもつ認知のゆがみをそのままよしとすることになる。大きな認知のゆがみがはたらいていて、それを見逃してしまうと、ゆがみがそのまま引きつがれてしまう。

 情報の中に含まれる汚染がまったくないと見なすことはできないから、汚染の度合いのていどのちがいがある。そのていどがひどくなっているのが、アメリカの大統領や日本のお上の言うことだろう。

 お上の言うことの汚染のていどがひどくなってしまっているのは、お上が言うことだから当たっているのだろうということで、そのまま垂れ流されて報じられることによるのがある。ゆがみがとり除かれないでそのまま流されてしまう。

 お上が情報を操作することがやりやすい環境が整えられているから、受けとる方としては操作されやすくなっている。操作されてしまうことにはなるべく気をつけて行きたいものだ。少しくらいは気をつけておくようにして、たとえお上が言っていることであったとしても、事実としての信頼性や信ぴょう性はあるのかや、説得性があると言えるのかをちょっとは確かめるようにしたい。

 参照文献 『情報汚染の時代』高田明典(あきのり) 『双書 哲学塾 自由論』井上達夫 『情報操作のトリック その歴史と方法』川上和久 『反証主義』小河原(こがわら)誠