アベノマスクの政策のプラスとマイナス―政権はプラスだけを強調している

 アベノマスクの政策で、マスクの市場の価格が下がった。価格が下がって安定した。その成果が出たのだと官房長官は言っていた。

 官房長官が言うように、布マスクを世帯ごとに二枚ほど配るアベノマスクの政策で、マスクの市場の価格が下がったと言えるのだろうか。このことについては、アベノマスクの政策のプラスとマイナスを見るようにしてみたい。費用対効果で、費用と効果がどうかを見てみられる。

 官房長官が言っているのは、アベノマスクの政策でプラスの成果が出たのだということだろう。プラスになったということである。そこでとり落とされているのはマイナスの面である。マイナスが捨象されているのは不つり合いだ。

 アベノマスクの政策にはたしてプラスの成果がほんとうにあったのかといえば、それは疑わしい。費用をかけただけの効果があったとは言い切れそうにない。

 プラスとマイナスを切り分けて、プラスについてを見たさいに、アベノマスクの政策にプラスがあったのかどうかはあやしい。プラスは〇だったと言ってしまうと言いすぎかもしれないが、あったとしてもほんの少しくらいなのが現実のところで、すごいプラスがあったというのは誇張になっているのがいなめない。

 マイナスとしては、いまだに布マスクが世帯に二枚ほど配られていないところが少なくなく、布マスクを配り終えているのは一部だというのがある。まだ政策が完了していなくて未完了だ。速度が遅くて間が悪い。

 ほかのマイナスとしては、費用対効果の費用のかけ方が適正ではない。ペーパーカンパニーの正体のあやしいところに費用である税金が投入されているのは、費用のかけ方としておかしい。費用である税金をかけるのなら、適正なところに適正な形でかけないとならないが、そうなっていないのがある。

 見すごせないマイナスとしては、配られる布マスクの中に不良品があることがわかったことだ。それで配ることが中止されて、検品されている。きちんとしていないつくり方で布マスクがつくられているのがあるとされる。不良品を検品することが、保健所に押しつけられていることで、下の者に政治の失敗のしわ寄せが行っている。

 そのほかのマイナスとしては、政策の意思決定の過程がよくわからないのがあり、透明性がない。どういう目的のためにどういう手段を用いるのかのつながりがはっきりとはしていない。目的合理性がうたがわしい。ほんとうに国民にためになるというよりは、政権の自己満足のために政策が決められているふしがある。

 プラスとマイナスに分けてアベノマスクの政策を見てみられるとすると、プラスの確からしさはそれほどあるとは言えそうになく、マイナスは色々にある。費用対効果で、効果が強調されるほどにあったとは言い切れず、プラスが大きかったというのは誇張のおそれがある。

 色々なあらやずさんさがアベノマスクの政策にはあるように見うけられるが、そんなふうなあらやずさんさがあるような政策が行なわれることでよいのだろうか。人によって色々な見なし方があるだろうが、あらやずさんさのある政策が行なわれているのなら、そのような政治のあり方でよいのだとは見なしづらい。政策を行なうさいや、それがどうだったかを評価するさいには、抜かりがあるようではなくて、もうちょっときっちりとやって行くことがいる。やったことだけではなくてふり返り方もきちんとしていないと、歴史修正主義のようなことになる。

 プラスだけがあったのだと誇張するのではなくて、プラスとマイナスを切り分けて、その確からしさを見たり、マイナスをとり落としてはいないかを見て行ったりしたほうが、でたらめなことが政治で行なわれるのを少しは防ぎやすい。アベノマスクの政策で配られた布マスクには不良品がいくつもあって汚れなどがついているとされるが、それと同じように、政権が言うことにも汚染が目だつ。情報の汚染である。情報の汚染は、情報の中に政治性や作為性や意図性が多く入っているものだ。

 参照文献 『情報汚染の時代』高田明典(あきのり) 『情報政治学講義』高瀬淳一