ウイルスの感染の緊急事態宣言と、国の財政の非常事態宣言

 れいわ新選組山本太郎氏による経済や財政などの政策はでたらめだ。いい加減だ。それでは国がめちゃめちゃになってしまう。元政治家はテレビ番組の中においてそう言っていた。

 れいわ新選組山本太郎氏がかかげる経済や財政の政策をよしとする人は少なからずいるのはあるだろうが、どちらかというと、元政治家が言っていることをよしとしてみたい。山本氏がかかげるような反緊縮のものではなくて、財政の規律を基本としてはしっかりと守って行くようにするのをよしとしてみたい。

 新型コロナウイルスへの感染が広がっていることで大変なことになっているのはあるが、それとともに、それと同じかそれより以上に大変なのが、国の財政だ。国の財政の借金がとても多くなっていることで、財政において非常事態宣言が出ているのだと言えるほどになっている。

 ウイルスへの感染が広まっていることだけではなくて、国の財政についてもまた非常事態宣言が出ているのに等しいことになっている。そこを軽く見なすのではなくて重く見なすようにするとすれば、戦後において与党である自由民主党がこれまでにやって来たような利益をばらまく利益分配の政治ができるとは見なしづらい。それをするゆとりがあるとは言いがたい。

 利益を分配することができなくなっている中で求められてくるのが、国民に向かって説明責任を果たせる政治だろう。たんに国民に利益を分配すればそれでよいというのではなくて、いかにして国民に説明を行なって負担を分配するかがある。

 国民がきらうようなことを表にとり上げようとはしないで、きちんと説明をしないで争点化することが避けられてきたのがこれまでの政治ではないだろうか。利益を分配する政治はそれと親和性がある。それとはちがい、国民がきらうようなことであったとしてもそれをとり上げるようにして、争点化するようにして、どのように負担を分配するようにするのかをさぐって行く。

 れいわ新選組山本太郎氏がかかげる政策は、でたらめなものではなくて、正しいものである見こみはあるだろうが、それが正しいのではなくて反証(否定)される見こみもまたあるだろう。

 過去の歴史をふり返ってみれば、国の借金はいくらやってもよいのだということが戦前の大政翼賛会でも言われていたようだが(「隣組読本」による)、そこで言われていたような神風は吹かず、戦争に負けたさいに日本の財政は破綻した。そこでうまいぐあいに神風が吹かなかったのがあるから、そこを重く見るようにしてみたい。

 参照文献 『国債・非常事態宣言 「三年以内の暴落」へのカウントダウン』松田千恵子 『反証主義』小河原(こがわら)誠 『武器としての〈言葉政治〉 不利益分配時代の政治手法』高瀬淳一