平時において医療で無駄なところを削る改革と無駄学

 改革をして、医療のむだを削減する。平時においてはそれはよいことだったが、緊急のときにはよくないことだった。元政治家はそうふり返っていた。

 このことは、学者の西成活裕(にしなりかつひろ)氏のいう無駄学によって見ることができる。

 医療のむだを削るのは、平時においてはよいことで、緊急のときにはよくないことだというのは、無駄かどうかが関わってくる。ものごとが無駄かどうかは、目的や立ち場や期間がどうかによって変わってくるものなので、その条件によって同じことであっても無駄であったり無駄でなかったりする。

 どういう目的や立ち場や期間によるのかをはっきりとさせながら、医療がどうあるべきかを見て行く。その三つの点があいまいなままで、たんに平時においては医療のむだを削るのが正しいのだということで改革を進めて行ってしまうと、無駄ではないものを無駄だと見なしてなくしてしまうということになりかねない。

 参照文献 『無駄学』西成活裕