首相は国民に一律一〇万円を支給することにするのを決めたと報じられている。
国民に一律で一〇万円を支給する政策は、これを行なう必要性が高いことから、許容されるものだと見なせる。
賛成がほとんどのものは一人勝ち型で、賛否が分かれるのは論争型だとされるが、国民に一〇万円を配る政策はおおむね一人勝ち型に近い。
必要性が高く、一人勝ち型に近いものだと見なせるが、政策としての有効性ははたしてどうなのだろうか。
有効性にたいする難としては、一〇万円をとくに必要としていない人にも支給されてしまうのや、一〇万円を支給されてもそれだけではぜんぜん足りない人もいるだろう。一〇万円を支給するのを国民に限定すると、そこから漏れてしまう人が出てきてしまう。十二兆円以上にものぼることから、国の財政の借金が増えてしまうのもある。
有効性にいくつかの難があるかもしれないが、それをくみ入れたうえで、必要性がとても高いから、許容されるのだということは言えるのかもしれない。そのさいに、できるだけ支給から漏れてしまう人が出ないようにしてほしいものである。税金をとるときには広くからとっておいて(それはそれでよいが)、補償はせまく、というのは適しているものだとは言えそうにない。
一〇万円が一時的に支給される流れを受けて、そのままベーシック・インカムに進んでいったら面白いかなという気が個人としてはする。この政策にも色々な難があるかもしれないが、もし実現したら助かる人が少なくないのにちがいない。
参照文献 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ) 『社会問題の社会学』赤川学
