ウイルスへの感染に対応することと機動性

 新型コロナウイルスへの感染に対応する政権の動きに機動性はあるのだろうか。政権はこれまでに何かに触れるときに、機動性をもってということをしばしば言っていた。肝心なときに機動性をもってことに当たれているのでないと意味がない。

 船でいうと、小舟は機動性が高く、大船はそれが低い。日本は大船のところがあるので、いざというさいに機動性を持ちづらいのがあるかもしれない。にぶく遅い動きになってしまう。

 一つの国だけではなく世界が全体としてつながり合うグローバル化となっているために、世界の全体が一つの大きな船となっていると言えるとすると、一つの国におけるかじがききづらくなる。一つの国だけでできることが限られてくる。そこでは小舟のような機動性をもつことはのぞみづらい。

 グローバル化になっていることで一国がかじ取りができる範囲が限られているのに加えて、海のどの位置にいるのかの航路を知るための海図が古びてしまっている。いまの時点の現実とまさにぴったりと合った海図は手もとにはない。何が確かに正しくて、何が確かにまちがったことなのかがわかりづらくなる。そうなると漂流せざるをえなくなる。手さぐりで進むことになる。

 参照文献 『安部公房全集 第九巻』 『日本の川を旅する』野田知佑(ともすけ)