新型コロナウイルスへの感染を防ぐのに BCG が有効だということが言われている―因果関係があるかどうか

 日本人は BCG の予防接種を受けているので、新型コロナウイルスへの感染がおきづらい。そうしたことが言われていた。

 BCG の予防接種が新型コロナウイルスにかかりづらい効果をもつのなら一つの朗報だ。

 因果関係があるかどうかでは、因果関係があるのであれば有効であることになるが、それがなければ有効性がないことになる。

 因果関係があるかどうかについては、相関関係があるかどうかがまずある。BCG の予防接種と新型コロナウイルスへの感染がおきること(またはおきづらいこと)が、たがいに関係しているのか、それとも関係がないのかのちがいだ。一方が変わると他方も変わるという共に変化する相関のあり無しだ。

 相関は目に見える情報にもとづく。そこから目に見えない因果があるかどうかを確かめる。相関はあっても因果はない(あるとまでは言えない)ことがあるので、できるだけていねいに見て行くことがいるとされる。

 日本人の多くが BCG の予防接種を受けているとされるが、その日本人の中にも新型コロナウイルスへの感染者がけっこうおきている。特定の年齢や世代だけにかぎらず、体力のありそうな運動選手や著名人もかかっている。日本人に広く感染がおきていることをくみ入れると、BCG の予防接種が感染を防ぐ絶大な効果をもっているとまでは言えないかもしれない。

 BCG の予防接種を受けていてもかかってしまうこともあり、日本人に感染者がそれなりに出ていることから、感染を防げるまちがいのない絶大な有効性をもっているとまではおしはかりづらい。有効性のほどは、検証されることでわかってくることだからそれが待たれる。

 参照文献 『「科学的思考」のレッスン 学校で教えてくれないサイエンス』戸田山和久