不必要な外出の自粛の要請と社会的矛盾

 必要がないのであれば外出はやめる。それが求められている。新型コロナウイルスへの感染が社会の中で広まりはじめているから、感染を広げないようにするために、外出をひかえることがよいとされる。

 たとえ必要がない外出であってもしてしまうのは、社会的矛盾がおきているのだととらえられる。みんながすべて協力するのではなくて、非協力の人がおきてくる。協力への動機づけよりも非協力への動機づけがはたらくことがないではない。

 社会的矛盾がおきないようにするのはむずかしい。理想論としてはみんながすべて協力する行動をとるのがよいが、現実論としては非協力な行動をとる人がおきてくる。これは他人ごとだとは言えないことだし、ウイルスへの感染についてだけではなくてほかのさまざまなことにも当てはまる。

 道徳の崩壊(モラルハザード)みたいなことも関わっているかもしれない。ウイルスへの感染を防ぐために、協力の行動をとることがいることはまちがいがないが、それ以外のときやそのほかのことで、道徳がきちんと守られているのかというと、そうとは言えそうにない。

 理想論としてはふつうの人の模範となるべき政治家などの公人が、現実論としては道徳を平気で破ったり不道徳なふるまいをしたりしていることは目だつ。公人の利己主義がはびこっている。それも上に行けば行くほど(えらくなるほど)目だつ。政治家の劣化がおきていることが言われている。退廃がおきている。そのことの影響ももしかしたらあるかもしれない。

 参照文献 『社会的ジレンマ山岸俊男 『究極の思考術 あなたの論理思考力がアップする「二項対立」の視点十五』木山泰嗣(ひろつぐ)