新型コロナウイルスへの感染の対策と、政府に従うこと―時の政権は賢いか愚かか

 新型コロナウイルスへの感染が社会の中で広まり出している。政府はそれへの対策を行なう。政府が対策としてやることや言うことに、だまって従うことがのぞましいことだと言えるのだろうか。

 ウイルスへの感染がおきているこんなときだからこそ、政府のやることや言うことに従うのがよいのだとする見解は、まちがいなく正しいとまでは言えないものかもしれない。

 政府がやることや言うことは、絶対に正しいとはかぎらず、中にはまちがっていることがある。それで国民に害がおきることがある。じっさいの事例では戦争のときがあげられる。

 政府がやることや言うことにさからうことでかえってよい結果がもたらされることも中にはある。そのさいには、政府による仮説が黒いものつまりまちがったものだったことをあらわす。政府による仮説を反証(否定)したことになる。

 一か〇かや白か黒かの二分法を避けられるとすると、政府がやることや言うことがぜんぶまちがっているとは言えないが、ぜんぶが正しいとも言えそうにない。中には正しいものもあり、中にはまちがっているものもある。従ったほうがよいこともあり、従わずにさからったほうがかえってよいこともある。

 政府がやることや言うことを仮説として見てみると、その仮説がまちがいなく白いとは言い切れず、黒いものであることがあるから、そのさいにはそれに従うとまちがうことになる。

 いまの日本の時の政権が、とても賢くて、愚かではないのだと、はっきりと言い切ることができるだろうか。かりに愚かではないとしても、ことわざでいう弘法も筆の誤りやさるも木から落ちると言われていることがある。

 いまの時の政権が多かれ少なかれ愚かである見こみはぬぐい切れないのがあるし、誰からどう見てもまちがいなく賢いのだとは言いづらい。愚かであれば失敗する見こみが高い。

 政権の失敗とは別に、政権が愚かではないとしてしまうと、政権のことを持ち上げることになるので、それが裏目に出ることがある。裏目に出るのを防ぐには、政権のことをあまり持ち上げすぎないようにして、まったくもってやることや言うことが正しいのだとはしないで、いちおうは、もしかしたらまちがっていることがあるかもしれないと見なしておくと多少はよいだろう。

 参照文献 『反証主義』小河原(こがわら)誠 『九九.九%は仮説 思いこみで判断しないための考え方』竹内薫